第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[O131] 一般演題・口演131
鎮痛・鎮静・せん妄 研究05

2019年3月2日(土) 14:50 〜 15:40 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:安藤 有子(関西医科大学附属病院高度救命救急センター)

[O131-1] 離床訓練の写真掲示がその後の離床状況やせん妄発症に及ぼす効果

佐藤 萌1, 須賀 恭子2, 川崎 美穂1, 大宮 敦子2, 小野寺 悠2,3, 中根 正樹2,4, 川前 金幸3 (1.山形大学 医学部 附属病院 呼吸器病センター, 2.山形大学 医学部 附属病院 高度集中治療センター, 3.山形大学 医学部 麻酔科, 4.山形大学 医学部 救急科)

【背景】せん妄の発症と持続期間を減らすために早期離床が推奨されている。今回、早期離床への取り組みとして離床時に撮影した写真をベッドサイドに飾ることで、離床が促進するかどうか、写真撮影の効果とせん妄発症への影響を検討した。【方法】対象:2016年1月~2017年1月までに集中治療部に入室した60歳以上90歳未満の心臓血管外科術後患者68名。方法:2016年1月~4月までに入室した32名を非写真撮影群(以下、非写真群)、平成2016年7月~2017年1月までに入室した36名を写真撮影群(以下、写真群)とした。両群において、患者背景・ICU入室日数・術後端座位・立位・歩行開始までの日数、せん妄の有無、せん妄の分類、せん妄持続日数を比較した。写真群においては、端座位・立位・歩行時にそれぞれ離床に関わったスタッフとともに写真を撮影した。せん妄の評価はCAM-ICUを用いた。【結果】非写真群・写真群において患者背景は有意差を認めなかった。非写真群は端座位3(1-8)POD、立位3(1-8)POD、100m歩行・200m歩行を行った症例はいなかった。写真群は端座位・立位・歩行1(1-3)POD、100m歩行2(1-4)POD、200m歩行3(2-5)PODであった。非写真群・写真群において端座位・立位・100m歩行、200m歩行で(P>0.001)と有意差を認めた。せん妄発生については非写真群37.5%(12/32例)・写真群11%(4/36例)でP=0.02と有意差を認めた。せん妄持続日数については非写真群で2(2-6)日、写真群で2(1-2)日であった。【考察】離床時の写真を掲示することにより、患者・医療スタッフそれぞれが離床の喜びを感じることができ離床に対する意欲が向上したと考える。離床に関わるスタッフ全員の自己効力感(セルフエフィカシー)が高まったことにより離床が促進したと考える。せん妄の発症と持続期間を減らすために早期離床が推奨されており、今回の取り組みにおいても同様の結果を得ることができた。また、写真を掲示したことにより患者自身が視覚的に現状を認識したことでせん妄予防の一助になったと考えられる。【結論】写真掲示により離床は促進され、せん妄の発生が減少した。