第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[O131] 一般演題・口演131
鎮痛・鎮静・せん妄 研究05

2019年3月2日(土) 14:50 〜 15:40 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:安藤 有子(関西医科大学附属病院高度救命救急センター)

[O131-3] ICDSC評価は補足説明事項により評価者間信頼性が向上する

池本 信洋1, 藤井 加奈1, 山田 かおり1, 加瀬 嘉信1, 難波 璃絵1, 長尾 実紗1, 古賀 雄二1,2 (1.川崎医科大学附属病院, 2.川崎医療福祉大学 保健看護学科)

【背景】A施設ではICUせん妄評価法としてICDSCを導入し、過去に評価者間信頼性検証(総合判定κ=0.66,95%CI:0.48-0.84)を行った。総合判定で一致度は良好な結果が得られたが、項目ごとの一致度の評価(κ=0.25~1)ではバラつきがみられた。その要因として、ICDSCには抽象的かつ曖昧な表現が用いられているためであると考えた。【目的】ICDSCの評価項目に具体化した表記や補足説明を追加することでICDSCの評価者間の一致度が向上する、との仮説を検証すること。【方法】前方視的調査研究である。対象患者はA施設ICUに24時間以上入室した20歳以上の患者、対象者はリサーチナース(ICU経験2~8年の研究グループ所属者)とスタッフナース(リサーチナースを除く全ICU看護師)とした。ICDSC補足事項を(1)軽度・中等度などの用語説明にRASSを用いて補足(項目1・5)、(2)状況解釈のための場面例を用いて補足(項目3・7・8)、(3)評価方法の具体例を補足(項目2・4・6)の3視点により作成し、スタッフナースにICDSC補足事項の文書・評価場面動画による説明(1回20分間、計5回)を行った。
データ収集は、スタッフナースと同勤務のリサーチナースが直接患者観察を行い、過去24時間のカルテ情報と合わせてICDSC評価を行った。測定項目はリサーチナースとスタッフナースのICDSC総合判定と項目評価結果である。
 ICDSC総合判定および各項目の一致度(κ係数)を算出し、分析を行った。対象施設研究倫理委員会(承認番号:3153)の承認を得て行った。【結果】調査期間は平成30年8月から9月、対象患者19名、総評価回数63回であった。ICDSC総合判定および8項目の分析結果は、総合判定(κ=0.77,95%CI:0.62-0.93)、項目1(κ=0.74,95%CI:0.57-0.90)、項目2(κ=0.86,95%CI:0.73-0.99)、項目3(κ=0.77,95%CI:0.62-0.93)、項目4(κ=0.74,95%CI:0.45-1.02)、項目5(κ=0.71,95%CI:0.54-0.88)、項目6(κ=0.87,95%CI:0.69-1.04)、項目7(κ=0.74,95%CI:0.57-0.90)、項目8(κ=0.72,95%CI:0.54-0.90)であった。【結論】独自作成したICDSC補足説明事項導入により、ICDSC総合判定および各項目の評価者間信頼性が向上した。ICDSC補足説明事項導入によるせん妄評価妥当性への影響検証が課題である。