[O132-2] 血液透析患者において、除水による体液量の変化は皮膚色の変化をもたらすか?
【背景】患者の皮膚色の観察は、患者の病状把握に大切であるが、現段階では主観的な評価項目に過ぎず、評価・情報伝達・記録において活用することが難しい。皮膚色を客観的な数値で表し、その値の変化により、病態生理学的変化が推測できれば臨床的意義が大きい。分光測色計は物体色を分光反射率で測定した上で、標準光源D65下での三刺激値L*a*b*を求め、物体色の明度(L*)、彩度(C*ab)、二色の色差(△E*ab)等を表すことができる。血液透析患者の皮膚色は、健常人に比べL*が低下することが報告されているが、1回の透析前後で皮膚色が変化するかどうかは検討されていない。【目的】分光測色計を用いて、血液透析患者の皮膚色を透析前後で測定し、皮膚色の変化量を把握した上で、皮膚色と除水量および血液検査データとの関係について検討した。【方法】血液透析患者13人(67.3±9.6歳)を対象とした。前腕屈側の皮膚色を分光測色計(CM2600d)で測定し、透析前後のL*a*b*および色差△E*abを算出した。また診療録より、除水量および透析前後のヘマトクリットHctとHgbを収集し、皮膚色との関係を統計学的に検討した。【結果】1)皮膚色L*、a*、b*は、透析前後で僅かだが有意に変化しており、透析後に明度L*は減少、a*は増加、b*は減少、C*abは減少した。しかし透析前後の皮膚色の色差は肉眼で判別できる程ではなかった(△E*ab =2.03)。2)透析前後の皮膚色L* とHctの間に負の相関を認めた。透析後の皮膚色L* とHgbの間に負の相関を認めた。3)除水量と透析前後の皮膚色の明度差△L*との間に負の相関、除水量と透析前後の皮膚色の色差△E*abとの間に正の相関を認めた。【結論】慢性腎不全患者の血液透析前後の皮膚色の変化には除水量が関係していることが示唆された。