第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

血液浄化 研究

[O132] 一般演題・口演132
血液浄化 研究02

2019年3月2日(土) 15:40 〜 16:20 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:金井 尚之(東京警察病院救急科)

[O132-4] 透析患者における開心術後の無抗凝固持続透析について

宮留 優也, 野田 明里, 星野 春奈, 干川 祐樹, 倉島 直樹, 桜沢 貴俊 (国立大学法人 東京医科歯科大学 医学部附属病院 MEセンター)

【背景】本学では開心術直後から持続血液透析(CHD)を施行しているが、再開胸・出血等のリスクを最小限にするため、抗血栓性に優れたヘモフィルターを使用し無抗凝固で行っている。しかし無抗凝固下では回路内凝固のリスクが増大するため、目標施行時間は術後から翌日勤務時間内としている。今回無抗凝固下でのCHDについて検討を行ったので報告をする。【対象及び方法】2015年1月より2018年3月までにHD患者で体外循環を使用した開心術を施行し、術後より無抗凝固下でCHDを施行した26症例(男:女=16:10、平均年齢69歳)を対象とした。施行条件としてニプロ社製ヘモフィルターUT-300s、透析液として扶桑薬品工業社製サブラッド透析濾過用補充液BSGを使用し、条件としてQB:80ml/min、QD:600~2000ml/h、除水:0~200ml/hで施行した。検討方法は、翌朝6時時点の活性化凝固時間・生化学検査・血液ガス分析・回路内凝固までの時間と、心臓血管外科医師による抗凝固剤使用可能と判断されるまでの時間を評価した。【結果】ACTはA側127±10.2秒、V側132±20.5秒、APTT41.1±26.3秒回路内凝固および抗凝固使用可能までの時間は、14時間51分±5時間42分回路内凝固は9件、定期交換は17件であった。【結論】本学での開心術を要するHD患者は複合疾患が多く、手術時間が長い傾向にある為出納バランスが崩れやすい、そのため術後からの予防的にCHDを施行している。しかし無抗凝固におけるCHDは早期に回路内凝固を来す可能性が高い、回路内凝固及び抗凝固剤使用まで約15時間であり翌朝勤務帯まで使用できた症例が多く、我々の目標は概ね達成出来ている。我々は、抗血栓性に優れたヘモフィルターの使用と膜面積を小さくすることで、1.入口圧と返血圧との差圧をもたらすため、血液線速度が増加し通常よりもヘモフィルター内での凝固血栓防止効果を来し、回路内凝固発生時の血液ロスを最小に抑える。2.回路内凝固発生時の血液ロスを最小に抑える。短時間での回路内凝固も数例あるが、血行動態に対する影響を最小限に抑えながら適切な水分コントロールも行えるメリットを考慮するとこの無抗凝固CHDは出血合併症症例に対する治療戦略として選択可能であると考える。