第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

血液浄化 研究

[O132] 一般演題・口演132
血液浄化 研究02

2019年3月2日(土) 15:40 〜 16:20 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:金井 尚之(東京警察病院救急科)

[O132-5] 体外循環用血液学的パラメータモニタを応用したΔBV計としての検討

倉島 直樹, 大久保 淳, 星野 春奈, 野田 明里, 干川 祐樹, 宮留 優也, 浅見 達也 (東京医科歯科大学医学部附属病院 MEセンター)

【目的】近年、血液透析監視装置は安全性や操作性といった向上に留まらず、モニタリングの機能向上も目覚ましい。特に、循環血液量変化率(ΔBV)の計測を装置オプションとして組み込み、従来の専用装置なしでもモニタリングが行えるようになってきた。近年では、アフェレーシス療法におけるΔBV計測の有用性や旧透析装置では計測が行えない環境にある。今回、体外循環用血液学的パラメータモニタがΔBV計測の代用に成り得るか検討を行ったので報告する。【対象及び方法】体外循環用血液学的パラメータはニプロ社製マイオキシクトを使用して検討を行った。マイオキシクトは、専用のセルを回路内に組み込むことなく、3/8インチ回路を直接挟むことでヘマトクリット値(Hct)、酸素飽和度を計測できる。今回は、透析回路とダイアライザ接続口に合うように3/8インチ回路を作成して、専用装置であるクリットラインモニター(CLM)とΔBV算出に使用されるHct値について比較した。対象は3症例で、血液流量が150、180、200ml/minと異なる条件で検討を行った。2つの装置のデータはSpearmanの順位相関係数とBland-Altman分析を用いて検討を行った。【結果】CLMとマイオキシクトの間には正の相関(rs=0.807,p<0.0001)を示した。また、Bland-Altman分析では、Biasは-0.718、LOAは-3.20~1.77、%error15.5%であった。【考察】両装置は測定精度として、高い相関を示したが、Bland-Altma分析では、偶然誤差は許容できるが、系統誤差が大きく生じた。サブ解析として、血液流量を3条件で検討を行ったところ、200ml/min偶然誤差4.1%、系統誤差-0.56と最も低く、検討装置が人工心肺やECMOなど高流量条件下で使用される装置である要因が関与している可能性があった。現状、精度の観点から一定以上の流量が必要である。また、透析回路を直接挟んで使用できるセンサーではないため、今後のセンサー開発と共に検討を行う必要がある。