第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

血液浄化 症例

[O133] 一般演題・口演133
血液浄化 症例02

Sat. Mar 2, 2019 4:20 PM - 5:10 PM 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:三木 隆弘(日本大学病院 臨床工学室)

[O133-4] 長期連続On-Line HDFを必要とした急性肝不全における機械的問題点

松嶋 尚志, 岡 俊人, 菊池 郁美, 二木 駿, 本 明子, 濱 達也, 櫻井 修 (金沢大学附属病院 ME機器管理センター)

【背景】人工肝補助療法(ALS)は、解毒障害による肝性脳症の進展を抑制し不可逆的な中枢神経系障害を抑えるために広く用いられており、当施設においてもOn-Line HDF(O-HDF)とContinuous Plasma-Dia Filtration(CPDF)の併用が肝移植へのブリッジ療法として選択されている。今回24時間連続で上記治療を継続した事で、いくつかの機械的な問題点や課題があったので報告する。【症例経過】30歳代男性、倦怠感を主訴に肝不全が進行、PT 29%まで低下し当院搬送された。来院時は肝性脳症I度、翌日にはII度を認め急性肝不全昏睡型と診断され、肝移植待機となった。O-HDFとCPDFを併用し覚醒の維持を目指したが、脳症は進行し治療時間を徐々に延長、24時間連続O-HDFにて覚醒を維持し得た。同治療等により18日間の肝性脳症進展を抑制し得たが、膵炎悪化により移植を断念した。【機械的問題点】・Vascular access 長期間安定した高血流量の確保は安全と治療効率上必要であり、血液回路内凝固を抑制するためにも欠かせない。緊急時ブラッドアクセス留置用ダブルルーメンカテーテルは脱血不良を頻回に起こし回路内凝固をきたしたため、シングルルーメンカテーテル(カフ型)を複数本留置し治療を継続した。主に使用した個人用透析装置は東レ社製TR-3300Sであったが、脱血監視方法は動脈チャンバー圧であり、より精度の高い脱血監視機能が望まれる。
・個人用透析装置の機械的メンテナンス 連続する長期間のO-HDFは機械的負担を強いるものであり、安全かつ安定した治療の継続には定期的な薬液洗浄とメンテナンスが必要と考えられる。本症例においては透析装置内の蛋白付着を原因とする漏血警報の作動があったこともあり、最長24時間を目途に血液回路交換と機械的メンテナンスを施行し、2台の透析装置を順次使用した。
・RO装置 当院集中治療部ではJWS社製多人数用RO装置MX251-Dを使用しており、イオン交換樹脂の再生工程等が挿入できないことによるRO膜への負担を懸念した。治療継続24時間で軟水装置後の硬度は高値を示した為、RO水電導度とRO膜圧力損失を定期的に経過観察した。また検査中等に定期的に必要なメンテナンス工程を臨時に組み込んだ。【結論】本症例を経験したことでいくつかの機械的な問題点が見つかり、今後対策を検討したい。O-HDF等のALSを安全かつ安定的に継続できる体制を医師、看護師等と協力し目指したい。