[O133-6] CBPにおける回路内凝固部位の要因は異なるのか
【目的】持続的血液浄化療法(CBP)において継続的に治療を遂行するためのLifeTimeに関する報告は多数ある。前大会において我々は、FDP同様、凝固線溶分子マーカーが回路内凝固の関連因子であると報告した。今回、CBP施行中の回路内凝固部位によりその要因は異なるのかretrospectiveに検討したので報告する。【方法及び対象】対象は、本学における2017年1月から2018年7月までのCBP施行症例101例中、成人症例28例を対象とし、補助循環法併用・透析患者症例は除外した。方法は、凝固の目視評価を5段階し、フィルターが4以上の群(凝固群)10例、4未満の群(非凝固群)18例を比較した。さらに、フィルター凝固のみが原因の症例を除いた21例で、チャンバーが4以上の群(凝固群)7例、4未満の群(非凝固群)14例を比較した。検討項目は、血算(WBC、HCT、PLT)、生化学(T-Bil、CRP)、凝固系(PT-INR、APTT、AT3、FDP、SF、脱血・送血ACT、ACT/APTT) 、薬剤投与(rTM、AT3製剤)とした。抗凝固剤はメシル酸ナファモスタット、フィルターはニプロ社製のUT-1500 を使用した。両群間の比較にはMann-Whitney-U検定、X2検定を用い有意水準は5%未満とした。【結果】フィルター凝固評価では、SF(凝固群82.8±14.7μg/mlvs非凝固群51.1±10.6μg/ml:P=0.044)、rTM(凝固群0例vs非凝固群6例:P=0.0394)で有意差があった。チャンバー凝固評価では、SF、rTMに有意差はなく、ACT/APTT(凝固群2.06±0.16vs非凝固群2.73±0.16:P=0.44)と凝固群で有意差があった。【考察】CBP施行中の予想外な回路内凝固は治療中断や血液Lossなどの問題に繋がる。CBPにおける回路内凝固は、トロンビン量の増加が関連しているなどの報告もある。今回の結果においてフィルター凝固を来たした症例は有意にSFが高く、rTM併用症例で回路内凝固が有意に発生していないなどの点を考慮すると、トロンビン量の増加はフィルター凝固へ大きく影響していることが示唆された。また、チェンバー凝固においては、トロンビン量よりも、他の要因が関連している可能性が高く、特にACTとAPTT比で有意差があった。チャンバー凝固症例では、ACT/APTTを参考に抗凝固療法を検討することも回路内凝固の軽減につなげられる可能性がある。