[O135-4] 多臓器不全、遷延する乳酸高値の原因が血管内リンパ腫であった1例
【症例】80歳の男性。既往歴として狭心症、高血圧、糖尿病あり。約1か月半前、高血糖あり、前医に約2週間の入院。入院中に軽度の肝機能障害を認めた。2週間前、微熱、鼻汁、全身倦怠感あり。1週間前、著明な倦怠感、食欲低下あり。4日前、低血糖、全身倦怠感あり、前医に入院。著明な肝機能障害とCTでの肝腫大を認めた。某日の昼、激しい上腹部痛が出現。血小板の低下あり。夕方、当院に転院搬送となった。来院時、呼吸数36回/分、心拍数78回/分、血圧112/63mmHg(ノルアドレナリン0.03μg/kg/分投与下)、GCS E3V4M6、腋窩温36.0度であった。来院時採血(17時)ではWBC 14,000/μL、CRP 12.24mg/dL、プロカルシトニン1.900ng/mL、血小板7.5万 /μL、PT 25%、aPTT 72.6秒、AST 386IU/L、ALT 246IU/L、総ビリルビン3.3mg/dL、BUN 50mg/dL、Crea 2.12mg/dL、LDH 3,554IU/L、pH 6.855、pCO2 9.4mmHg、pO2 155.0mmHg、HCO3- 1.6mmol/L、Lactate 22.8mmol/L(205.0mg/dL)、BE -32.7mmol/Lであった。CTで門脈、上腸間膜静脈に血栓を認めた。多臓器不全(SOFA score 12点)、著明な乳酸アシドーシス、門脈血栓に対して、気管挿管後、救命救急センターに入院となった。
救命救急センターに入室後、19時から24時までで輸液量5200cc、尿量64cc。ノルアドレナリン0.3μg/kg/分、オルプリノン0.05μg/kg/分、ニコランジル48mg/日、ソルコーテフ200mg/日を投与しながら収縮期血圧は100mmHg前後で推移していた。炭酸水素ナトリウム注射液7%を500cc投与した。0時の採血ではpH 7.183、pCO2 19.8mmHg、pO2 282.0mmHg、HCO3- 7.1mmol/L、Lactate 29.1mmol/L(262.0mg/dL)、BE -19.8mmol/LとLactateはさらに増加していた。0時から8時までで輸液量3700cc(FFP 960ccを含む)、尿量63cc。7時の採血ではpH 7.365、Lactate 29.3mmol/L(264mg/dL)、BE -10.4mmol/Lであった。
第2病日、多臓器不全(SOFA score 18点)、遷延する乳酸高値の原因として血管内リンパ腫を考えた。骨髄生検、ランダム皮膚生検でB細胞のmonoclonalityを認め、B細胞リンパ腫と診断した。腫瘍崩壊症候群のリスクが高かったため、ステロイドパルスを施行後、抗癌剤治療を行った。人工呼吸器を離脱し、会話可能な時期もあったが、第70病日に失った。
【結語】多臓器不全、遷延する乳酸高値の原因として血管内リンパ腫を念頭に置く必要がある。
救命救急センターに入室後、19時から24時までで輸液量5200cc、尿量64cc。ノルアドレナリン0.3μg/kg/分、オルプリノン0.05μg/kg/分、ニコランジル48mg/日、ソルコーテフ200mg/日を投与しながら収縮期血圧は100mmHg前後で推移していた。炭酸水素ナトリウム注射液7%を500cc投与した。0時の採血ではpH 7.183、pCO2 19.8mmHg、pO2 282.0mmHg、HCO3- 7.1mmol/L、Lactate 29.1mmol/L(262.0mg/dL)、BE -19.8mmol/LとLactateはさらに増加していた。0時から8時までで輸液量3700cc(FFP 960ccを含む)、尿量63cc。7時の採血ではpH 7.365、Lactate 29.3mmol/L(264mg/dL)、BE -10.4mmol/Lであった。
第2病日、多臓器不全(SOFA score 18点)、遷延する乳酸高値の原因として血管内リンパ腫を考えた。骨髄生検、ランダム皮膚生検でB細胞のmonoclonalityを認め、B細胞リンパ腫と診断した。腫瘍崩壊症候群のリスクが高かったため、ステロイドパルスを施行後、抗癌剤治療を行った。人工呼吸器を離脱し、会話可能な時期もあったが、第70病日に失った。
【結語】多臓器不全、遷延する乳酸高値の原因として血管内リンパ腫を念頭に置く必要がある。