[O138-2] ICUにおける人工呼吸器装着に関連したアドバンス・ケア・プランニングについての取り組み
【背景】ICUでは急性期の重症患者の治療が、患者背景にかかわらず行われている。患者本人が意思表示が困難な場合、家族や代理となるものが意思決定を行い治療方針が決定される。その心理的な負担は大きく容易ではない。実際に気管挿管を行った患者家族からは「こんなはずではなかった。」と後悔の念が聞かれた。今回は、数ある治療方針の中で人工呼吸器装着に関する意思決定支援に着目した。ICUにおけるアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)に関する取り組み結果を報告する。【目的】人工呼吸器装着に関連した写真付き資料(以下、補足資料)が急変時の対応に関する治療方針へどのように影響するか明らかにする。また、決定した治療方針に対する患者家族の後悔の念や言葉を減少させることを期待した。【方法】インフォームドコンセント(以下、IC)時に補足資料を使用。補足資料導入前後の患者家族の反応、急変時の治療方針をカルテを遡り集計する後ろ向き研究。対象:補足資料導入前2016年1月1日~12月31日のICU入室患者延べ319名、導入後2017年1月1日~12月31日の入室患者延べ311名。合計延べ630名。【結果】ICU在室中に急変時の治療方針を決定できた割合は補足資料導入後に減少した。しかし、その治療方針の内訳ではDo Not Attempt Resuscitation(以下、DNAR)件数の割合は上昇。積極的治療を希望した割合は減少し、積極的治療希望からDNARへ変更となった割合が上昇した。急変時の対応(気管挿管の可否、人工呼吸器の使用、気管切開、DNAR)後に患者・家族が後悔するような発言は減少した。【結論】補足資料導入により、人工呼吸器装着について視覚的なイメージ化をはかることで理解が促されたと考えた。DNARを選択する割合・後悔の発言があった件数に影響があったのは、イメージ化によって患者の苦痛を家族が考慮し、より納得のいく方針を決定するための援助ができた可能性がある。また補足資料の活用だけでなく、継続的に患者家族の精神面のケアを行うことでより良いACPとなることを期待する。