[O138-4] 集中治療室における終末期患者の家族に対する家族ケアの実際と看護師の困難感~看護師への質問紙調査から~
【背景】当院は急性期病院として定例・緊急ともに手術件数が多く、病床稼働率や日々の業務量などの変化が激しい。このような環境下で、看護師が終末期患者の家族に対してどのような困難感を抱いているのか、そして困難と感じさせる要因が何か明らかにしたいというのが研究の動機である。【目的】集中治療室に入室している終末期患者の家族に対する介入において、看護師が抱く困難感と困難に感じる要因を明らかにする。その要因を改善し、今後の家族ケアの質を向上させることを目的とした。【方法】看護師を対象とした質問紙調査を用いて横断研究を行った。対象は、集中治療室に入室した全患者家族とし、終末期か否かは問わなかった。看護師が各勤務帯で家族ケアを行った直後に質問紙に回答をしてもらった。質問紙から、家族ケアに困難感を抱いたか否か、ケアに困難感を抱いた場合の理由を集計し、終末期患者の家族とそうでない家族との比較、看護師の性別や経験年数等を比較した。【結果】後ろ向きで終末期と判断した患者家族ケア群(以降、終末期群)と、そうでない患者家族ケア群(以降、終末期でない群)を比較すると、終末期群でケアに要する時間が有意に長かった。実際に行われたケアで多かったのは「患者の状態に関する説明をした」であった。困難感を感じた看護師も終末期群で有意に多かった。感じた困難感の内訳としては「どう言葉をかけて良いか分からなかった」や「他業務のため十分な時間が確保できなかった」が多かった。看護師歴を比較すると、困難感を抱いたのは4~7、11~15年目の看護師で多かった。在室日数で比較すると、6日以上の患者家族に対して困難感を抱いている看護師が多かった。【結論】当院集中治療室の看護師を対象とした質問紙調査の結果では、終末期患者の家族ケアに要する時間が有意に長く、困難感を抱く看護師が多かった。中でも、家族ケア方法に困難感を抱くケースが最も多く、ケア方法について教育的支援を要することが示唆された。実践力を養うために、終末期家族ケアに関するフローチャートを作成しケアの指針を見出しやすくしたり、家族カンファレンス等でより個別性に合ったケア方法を話し合い情報共有することで、看護師間のケアの実践力を底上げしていくことが可能ではないかと考える。今後は、このような介入により看護師の困難感が軽減するか否か継続して調査を行っていく。