[O143-1] 集中治療を要した血液腫瘍患者の予後因子に関する後ろ向き研究:SOFAスコアの有用性評価
【背景】血液腫瘍患者は原疾患や治療合併症などでICU管理を要す場合があるが、予後因子についての知見が乏しく、過剰・過少医医療が行われうる状況である。【目的】本研究は「SOFAスコアがICU管理を要する血液腫瘍患者の予後因子となる」という仮説の検証を主な目的とした。【方法】2015年1月から2017年6月に状態悪化でICU入室した血液腫瘍患者を対象とし、一入院で複数回入室した場合は最終入室時を対象とした。患者背景、入室時重症度、SOFAスコア等を後ろ向きに収集し、予後に関して解析を行った。数値は中央値および四分位値もしくは頻度で表記し、群間比較を行い、SOFAスコアと予後に関してROC解析を行った。【結果】対象は44例であった。ICU死亡率は7.3%、病院死亡率は40.9%、1年死亡率は59.1%であった。病院予後の比較では、人工呼吸装着(p<0.01)と最高SOFA値(p<0.01)のみに有意差を認めた(表参照)。SOFA各臓器スコア3点以上の項目数と病院死亡についてのROC-AUCは0.76で至適閾値は2項目であった。病院死亡についてSOFA各臓器スコア2項目以上が3点以上を満たすことは感度0.58、特異度0.83、陽性的中率0.83、陰性的中率0.58であった。【結語】ICU管理を要する血液腫瘍患者において、SOFA各臓器スコア2項目以上が3点以上となることが、病院予後予測に有用な可能性が示唆された。