第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

終末期

[O143] 一般演題・口演143
終末期03

2019年3月3日(日) 10:35 〜 11:25 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:住永 有梨(昭和大学病院 看護部)

[O143-4] PICUにおけるグリーフカンファレンスの効果

坂本 佳津子1, 制野 勇介2, 井上 のどか1, 伊丹 照美1 (1.兵庫県立こども病院看護部, 2.兵庫県立こども病院小児集中治療科)

【背景】小児集中治療室(Pediatric Intensive care unit;以下PICU)に入室する児は重篤な患者が多く、看取りとなる児も少なくない。我が子を看取る家族の悲嘆と同時に医療スタッフにも大きな悲嘆をもたらす。当院では看取り後に医療スタッフのグリーフケアとしてグリーフカンファレンスを開始したが、グリーフカンファレンス自体にストレスを感じ、思いをうまく表出できないという意見も聞かれた。そこで2017年度から、臨床心理士や精神科医の参加やカンファレンス形式の工夫などのカンファレンス環境の調整を行い、グリーフカンファレンスが参加者にどのような効果をもたらしたのかを検討した。【目的】PICUにおけるグリーフカンファレンスの効果を検討する【方法】当院PICU病棟で勤務する研究者を除く看護師23名と集中治療科医師13名に対し、グリーフカンファレンスの形式や参加前後の気持ちの変化、精神科医や臨床心理士の参加についての思いを質問紙にて調査し、結果は量的データについては単純集計し、記述データは効果の視点から質的に分析した。【結果】36名中25名からの回答が得られ(回収率69%)そのうちグリーフカンファレンスに参加したことがある人は19名だった。カンファレンスの形式が少人数の時は「他のグループの話も聞きたかった」、全員で話し合うと「意見が出しにくい」「司会者や一部の人たちで話している感じがした」などの意見に対し両者に共通して「思いを共有できた」「異なる感想や葛藤があることを知れた」という肯定的な意見が聞かれた。75%のスタッフがカンファレンス前後で気持ちの変化があったと答え、その内容は、経験年数の違う医師や看護師の思いや記録では伝わらないその時の思いを聞けて「モヤモヤが晴れた」「自分を責めなくて良いと思えた」「悩んでいることを言いやすくなった」「自分の対応に訴えかけるものがあった」「集中治療における看護の大切さを改めて感じた」などであった。精神科医・臨床心理士の参加については、「客観的な意見が聞けた」「家族の思いや退院後の様子がわかった」「自分たちがしたことや思いに意味があることがわかった」など参加についての肯定的な意見が多く聞かれた。【結語】 精神科医・臨床心理士のグリーフカンファレンスへの参加は、スタッフのグリーフケアに効果的である。