[O147-4] 敗血症の経過中に抗菌薬投与による薬剤性好酸球増多症を疑い、ステロイド投与にて改善を認めた一例
【背景】好酸球増多症は末梢血の好酸球が500/μLを越える場合と定義されるが、高度になればあらゆる臓器障害を引き起こし、しばしば致命的となりうる。我々は、抗菌薬投与中に好酸球増多症を発症し、管理に難渋した敗血症の一例を経験した。本例の臨床経過は一般的な敗血症診療のピットホールと考えられたため、教育的観点より報告する。【臨床経過】症例はアトピー性皮膚炎の既往のある83歳男性。発熱、呼吸困難、血圧低下で救急搬送となり、化膿性脊椎炎および敗血症性ショックの診断にて、経皮的ドレナージ術後に集中治療室に入室となった。敗血症および化膿性脊椎炎の治療経過は良好であったが、長期にわたる抗菌薬の投与中に発熱、紅皮症、腎機能障害、血液中好酸球増多が出現し、その経過に一致して、循環動態の悪化および炎症所見の増悪を認めた。薬剤性好酸球増多症を疑い、被疑薬である抗菌薬を中止のうえ、ステロイド投与により、発熱、紅皮症、血液中好酸球増多は改善。それに伴い腎機能障害も軽快に向かった。治療経過からは好酸球増多は塩酸バンコマイシンまたはメロペネムによる薬剤性と推定された。【結論】敗血症の経過中に薬剤性好酸球増多症を疑い、被疑薬の中止とステロイド投与にて良好な経過を得た一例を経験した。