第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

感染・敗血症 研究

[O148] 一般演題・口演148
感染・敗血症 研究08

2019年3月3日(日) 10:45 〜 11:35 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:吉田 拓生(東京慈恵会医科大学麻酔科学講座集中治療部)

[O148-4] 集中治療部における気管支鏡運用についての工夫:感染対策のため、当院が取り組んでいること

成松 紀子, 徳永 健太郎, 谷川 広紀, 江嶋 正志, 菊池 忠, 鷺島 克之, 蒲原 英伸, 山本 達郎 (熊本大学医学部附属病院 集中治療部)

【背景】当院集中治療部では、気管支鏡を3本有しているが、平成24年より感染対策として、気管支鏡の洗浄についてこれまで集中治療部内で行っていた洗浄を廃止し、すべて中央材料部で洗浄することとした。しかし、中央材料部の洗浄室に送っていたものの運搬に人員が割けず、平日の午前中に送ると、当日15時に戻り、平日午後に送ると、翌平日15時に戻るといったように、運搬がスムーズに行かず洗浄の効率が悪かった。そのため、集中治療部所有の気管支鏡は、緊急時のみの使用にとどめ、喀痰吸引など緊急性が無い場合については、内視鏡室から気管支鏡を借用し、使用後に内視鏡室に返却する運用にしていた。【目的】内視鏡による感染を予防することと、集中治療部所有の気管支鏡をできるだけ運用できるよう、洗浄消毒、搬送のプロセスを構築することとした。平日8時から20時までの時間帯において、集中治療部所有の気管支鏡を中央材料部で洗浄消毒し、洗浄消毒完了後速やかにコンテナ運搬に乗せるシステムを新たに構築したので報告する。【方法】平成30年5月から運用を開始した。中央材料部と協議を重ね、平日の8時から20時までの間に中央材料部にコンテナで送った気管支鏡を、洗浄、消毒、乾燥が完了した時点で速やかにコンテナに乗せ集中治療部に戻してもらうシステムとした。中央材料部の人員増加は無かったものの、配置換えなどで運搬に人員を割いてもらえることとなった。この時間帯であれば、気管支鏡は中央材料部に送った後2時間程度で集中治療部に戻る運用となった。【結果】気管支鏡の洗浄記録を調査した。平成25年~29年において、集中治療部所有の気管支鏡の使用件数は、月平均3.3回であったが、平成30年5月から8月まで、月平均12.5回の使用であった。平日の20時から翌8時までと、休日については中央材料部による洗浄の運用が無いため、その間も常に清潔な気管支鏡を使用するべくディスポーザブルの気管支鏡を購入し、運用することとしている。【結論】内視鏡による感染を防ぐため、使用後の洗浄、消毒、乾燥など、厳密な管理が望まれる。気管支鏡の使用頻度が多い集中治療部において、短時間で洗浄、消毒が完了し速やかに次の症例に使用できるシステムを構築することで、感染対策に大きな貢献を果たしていると考える。