第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

RRS

[O149] 一般演題・口演149
RRS02

2019年3月3日(日) 08:45 〜 09:35 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:柳田 国夫(東京医科大学茨城医療センター)

[O149-2] 急性呼吸不全でICU緊急入室した症例から見た一般病棟における重症化の早期判断

鹿島 秀明, 高井 信幸, 田中 太郎, 才穂 亮介, 安部 敏生, 山崎 太郎, 丸川 征四郎 (医療法人 医誠会医誠会病院 集中診療センター)

【背景】一般病棟で重症化してICUに緊急入室となる事例が少なくない。特に夜勤帯の緊急入室は、患者・家族にも看護業務にも負担が大きく、医療安全の観点からも避けることが望ましい。重症化の原因は多彩であるが、急性呼吸不全の場合、一般病棟では動脈血ガス分析ではなくSpO2が主要な指標となるため重症化の認識が遅れがちになることから、その改善策が望まれる。
【目的】今回、一般病棟からのICU緊急入室症例の実態を把握すると共に、特に急性呼吸不全の重症化に注目して、その早期認識手段について改善策を検討した。
【方法】研究デザイン:後ろ向きコホート研究。対象:2017年4月1日~2018年3月31日に一般病棟で呼吸不全が悪化してICUに緊急入室した症例。方法:診療録から必要なデータを抽出した。呼吸不全についてはSpO2、酸素投与方法から推定したFiO2を用いて推定PaO2/FiO2値、推定SpO2/FiO2値を計算した。【結果】ICU緊急入室患者は90例で、ICU新規入室患者の1.07%を占めた。入室時間は日勤帯62%(56人)、準夜帯27%(24人)、深夜帯11%(10人)、原因病態は呼吸不全54.4%(49人)、心循環不全25.5%(13人)、その他20.1%(18人)であった。呼吸不全重症化の認識はおおむねMET基準に基づいているが、ICU緊急入室した日の勤務開始時には、すでにリザーバー付マスク管理以上の高濃度酸素投与例が92%を占め、推定 PaO2/FiO2値300以下が89.5%(43人)、推定SpO2/FiO2値が300以下は75.0%(36人)であった。さらに急変時にSpO2/FiO2が200以下の29例のうち、86.2%(25人)はICU緊急入室した日の勤務開始時すでに200以下であった。【結論】夜間帯のICU緊急入室が38%を占め、その50.0%が急性呼吸不全であり改善策が望まれる。一般病棟での呼吸不全重症化評価に推定SpO2/FiO2や推定PaO2/FiO2が有用かも知れない。