第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

RRS

[O149] 一般演題・口演149
RRS02

2019年3月3日(日) 08:45 〜 09:35 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:柳田 国夫(東京医科大学茨城医療センター)

[O149-4] 当院における予期せぬICU入室患者の検討

森川 大樹, 津久田 純平, 下澤 信彦, 森澤 健一郎, 藤谷 茂樹, 平 泰彦 (聖マリアンナ医科大学病院 救急集中治療部)

【背景】院内急変対応が普及しつつあるが、その救命率はいまだ十分ではない。【目的】重症化する前のより早期の段階に院内急変対応システムが稼動することによって、救命率を上げられる可能性がある。Rapid Response System(RRS)を起動した場合としなかった場合での重症患者の比較を行った。【方法】2018年1月から2018年8月1日までの7か月間に、院内から当院のICUに入室した48例について予後とその要因を診療録より後方視的に検討した。【結果】対象期間の入院総数は14,003人であり、645人(4.6%)が死亡している。RRS起動症例は21例、RRSが起動されなかった院内からのICU入室症例(RRS起動無し症例)は27例であった。RRS起動有り群とRRS起動無し群におけるICU入室症例の死亡例は、それぞれ11例(52.4%)と6例(22%)と有意差を持ってRRS起動群で死亡率が高かった(p=0.03)。ICU滞在期間は、RRS起動症例で4 [2.5-5.0]日、RRS起動無し症例で4 [2.0-9.0]日であった(p=0.444 Mann-Whiteny検定)。Simplified Acute Physiology Score(SAPS2)ではRRS起動症例で68 (27)、RRS起動無し症例で55 (20)と有無差は無かった(p=0.065 Student t検定)。ICU入室6-12時間前のNational Early Warning Score(NEWS)では、ICU入室が考慮される7点以上の割合が、RRS起動症例で11例(52.4%)、RRS起動無し症例で4例(14.8%)であった(p=0.005)。【結論】RRS起動症例の方がRRS起動無し症例に比べて死亡率が有意に高く、ICU滞在期間は変わらず、有意差はないがSAPS2が高い傾向があることからは、RRS起動症例の方が重症化症例が多い可能性がある。さらにRRS起動症例の方がICU入室6-12時間前のNEWS7点以上の症例が多いことからは、ICU入室前のより早期の段階でICU入室基準を満たしている可能性が高いことが分かる。RRS起動有りの方が重症例が多い傾向があり、6-12時間前に既にICU入室適応の可能性を満たしている患者が多いことから、より早期にRRSを起動することにより、死亡率を含めた重症化を防げる可能性があることが分かる。