[O150-1] RRS導入によるマンパワーと費用対効果
【背景】Rapid Response System(RRS)は本邦では2008年頃から普及し始め、導入成果が報告されている。【目的】RRS導入によるマンパワーと費用対効果についての検討。【方法】2014年1月1日から2017年9月30日にRRSオンラインレジストリーに登録された5884例を対象。「6か月後転帰(生存/死亡)」をプライマリーアウトカムとし、このアウトカムに対するマンパワーとして、「RRS対応者数」「RRS起動-終了時間」「RRS起動時間」「RRS転帰」の4項目に注目。「RRS対応者数」は「1人/2人以上」、「RRS起動時間」は「日勤帯(9-17時)/夜勤帯(17時-9時)」、「RRS転帰」は「ICU/HCU入室または経過観察/帰宅」の2郡にそれぞれ分けて比較。「RRS起動-終了時間」は中央値(分)で割り出した。また、セカンダリーアウトカムに「RRS転帰」を設定し、「RRS対応者数」「RRS起動-終了時間」「RRS起動時間」の3項目でサブ解析を行った。一方、費用対効果はコストデータがないため、ICU/HCU入室はコストを要すると考え、「RRS転帰」で検討。【結果】RRSのチーム形態はMET4919例(84%)/RRT662例(11%)/CCOT132例(2%)、対応者人数は1人1199例(20%)/2人以上3365例(58%)/データ欠損1320例(22%)、RRS起動時間は夜勤帯2601例(46%)、6か月後転帰は死亡1464例(25%)、RRS転帰は死亡208例(3.5%)/ICU・HCU1941例(33%)/経過観察・帰宅3244例(55%)であった。「6か月後転帰」は「RRS対応者数」により有意差は認められなかった。一方、「6か月後転帰が死亡」に有意な寄与因子は、「RRS起動時間が夜勤帯」と「RRS転帰がICU/HCU入室」であった。また、「6か月後転帰が死亡」症例では「6か月後転帰が生存」症例に比して「RRS起動-終了時間」が有意に長かった。また、サブ解析結果としては、「RRS起動時間が夜勤帯」と「RRS対応者数が1人」はそれぞれ、「RRS転帰がICU/HCU入室」という結果に有意な因子であった。「RRS転帰がICU/HCU入室」症例は「RRS転帰が経過観察/帰宅」症例に比して「RRS起動-終了時間」が有意に長かった。さらに、「RRS起動時間が夜勤帯」症例は「RRS起動時間が日勤帯」症例に比べて有意に「RRS対応者数が1人」であった。【結論】「RRS対応者数」と「6か月後転帰」に相関はなかったが、一般的にマンパワーの少ない夜勤帯でのRRS起動とは相関が認められた。また、「RRS転帰がICU/HCU入室」と「6か月後の死亡」、「RRS起動時間が夜勤帯」と「6か月後の死亡」にも相関が認められた。