第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

RRS

[O150] 一般演題・口演150
RRS03

2019年3月3日(日) 09:35 〜 10:35 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:倉迫 敏明(姫路赤十字病院 麻酔科)

[O150-4] 当院のRapid Response Systemの取り組み-集中治療部門設立はどう影響するか-

利根澤 慧, 谷 昌憲, 宮本 大輔, 林 拓也, 新津 健裕, 植田 育也 (埼玉県立小児医療センター 小児救命救急センター)

【目的】当院の院内急変に対する体制は、蘇生が必要な場合は ”コードブルー”、蘇生の必要がない急変事象の場合は “Rapid Response System (RRS)” で対応する2-tier systemを採用している。2016年12月の病院移転に伴い集中治療科が新設され、小児集中治療室 (PICU)・準集中治療室 (HCU) のclosed unitとしての運用を開始した。また、RRSの運営に集中治療科が関与するようになった。移転前後におけるRRSおよび院内急変症例の変化について比較検討した。【対象・方法】移転前 (2015年7月~2016年12月) と移転後 (2017年1月~2018年6月) の入院患者におけるRRS症例と院内急変症例について、診療録に基づき後方視的に検討した。【結果】RRS起動は、移転前1件 (1000入院当たり0.11件)、移転後37件 (同3.6件) と増加した。コードブルー発令は、移転前5件 (1000入院当たり0.55件)、移転後1件 (同0.10件) と減少した。NICUを除く院内における心肺蘇生事象は移転前26件 (1000入院当たり2.8件)、移転後31件 (同3.0件) だったが、そのうち、PICH/.HCU外における心肺蘇生事象は移転前21件 (1000入院当たり2.3件)、移転後6件 (同0.58件) と減少した。NICUを除く院内死亡は移転前38件 (1000入院当たり4.2件)、移転後48件 (同4.6件) だったが、そのうち、PICU/HCU外死亡は移転前28件 (1000入院当たり3.1件)、移転後12件 (同1.2件) だった。移転後のRRS症例のうち25件 (68%) がPICU/HCUに入室した。病院移転後の病棟からの予定外PICU/HCU入室は124件だが、そのうちRRSを介さない入室が99件(80%) であり、RRSを介した入室は25件 (20%) にとどまっていた。移転前は医師からのRRSの要請は0件であったが、移転後は14件(38%)と増加した。【結論】集中治療部門のRRSへの関与によりその起動件数は増加し、病棟における心肺蘇生事象は減少していることから、急変が起こりうる症例のPICU/HCUへの集約化が行われた。しかし、院内全体の死亡数は減少しておらず、集中治療部門のRRS関与に伴う患者の生命予後改善は示されなかった。医師からのRRS要請件数は増加したが、PICU/HCUの予定外入室はRRSを介さない症例が多く、RRSを介したPICU/HCUへの入室はまだ少ない。院内へのRRSの普及や教育を行い急変が起こりうる症例への早期介入が行われることにより院内死亡率の低下を目指してくことが今後の課題である。