第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

RRS

[O150] 一般演題・口演150
RRS03

Sun. Mar 3, 2019 9:35 AM - 10:35 AM 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:倉迫 敏明(姫路赤十字病院 麻酔科)

[O150-6] 一般病棟のニーズに即したCCOT導入に対する医療安全部門の取り組み

奈良場 啓1,2, 高橋 雄治1, 園生 智弘1,2, 橋本 英樹1, 中村 謙介1,2, 森村 尚登2 (1.日立総合病院 救急集中治療科, 2.東京大学 救急科学教室)

【背景】Rapid Response System(RRS)の普及により、院内救急システムの目標が「急変に適切に対応する」から「急変を未然に防ぐ」へ変遷している。また、急変を未然に防ぐシステムとしてCritical Care Outreach Team(CCOT)の有用性が報告されているが、その形態は様々で、施設ごとに工夫を重ねているのが現状である。また、効果的に院内救急システムを運用するためには、システムが院内に広く深く浸透することが必要であり、そのためには、死亡率などのHard outcomeの改善を目標とするだけでなく、いかに一般病棟のニーズに合った形で行うかという点も非常に重要となる。医療安全部門は、Afferent limbとEfferent limbの双方の立場に立ち、システムを導入・改革していく必要がある。今回、当院におけるCCOT導入における医療安全部門の取り組みとその結果について報告する。【目的】一般病棟のCCOTに対するニーズを明確化する。【方法】日立総合病院一般病棟の看護師372名(小児・産婦・緩和を含む)を対象とし、CCOTに関するアンケート調査をシステム導入前に匿名で行った。【結果】アンケート回収率は77%、回答者の経験年数1-3年が21%、4-9年が61%、10年以上が17%であった。CCOTの認知度は3%と低いものの、CCOTの内容に関しては、68%の看護師が「自分の病棟に必要であると思う」と回答した。その理由として、「何らかの懸念を抱いても、MET要請に至らないことが多い(51%)」、「自身のアセスメント能力向上に繋がると思う(35%)」が挙げられた。また、CCOTラウンドの時間帯としては、「午前中が良い(66%)」が多く、CCOTに求めるものとしては、「適切なアドバイス(75%)」、「教育的介入(68%)」などが挙げられた。【結論】CCOT導入にあたり、一般病棟のニーズを調査した。病態に即した適切な助言とともに教育的な介入に対する期待も高いことが示唆された。医療安全部門は、多くの医療資源を投じることで医療体制にかかる負荷よりも、増悪しつつある患者を発見し早期介入できる有益性に重きをおいた上で、既存の医療資源と能力を天秤にかけ、現場のニーズに合ったシステム導入を行う必要がある。