[O151-4] AED緊急警報システムを利用した院内救急対応の検討
【背景】A総合病院では、2006年に「AED緊急警報システム」をRapid Response System(以下、RRS)の初動連絡方法として導入した。具体的には、AEDの格納ケースが開扉されると同時に、ICU内のAED監視警報が作動し、開扉された場所がわかる仕組みとなっている。そして、該当フロアを確認したICU担当医がその場へ急行し、患者対応を行っている。2006年から2013年まではRRS対応は医師だけであったが、2013年4月からは、医師に加えICU看護師も同時に現場に駆けつける体制に変えた。今回、2006年4月から20013年3月までの運用と、2013年4月から2018年3月までの運用での違いを検討した。
【目的】AED緊急警報システムの作動状況と院内発症急病患者の蘇生率・生存率を検証し、システムの問題点と課題を明確にする。
【方法】2013年4月から2018年3月までのAED使用症例(A群)を対象とし、場所・患者接触時の初期心電図・蘇生率・生存率・予後を、2006年4月から20013年3月までのデータ(B群:日救急医学会誌.2014;25:453)と比較検討した。
【結果】AED使用症例は、A群148例(男性92例・女性56例・平均年齢73歳)、B群で201例(男性126例・女性75例・平均年齢75歳)であった。使用場所は腎臓内科病棟が最多で(A群25件、B群31例)、次に呼吸器内科病棟が(A群12件、B群20例)であった。接触時CPAはA群103例B群164例、非CPAはA群45例B群37例であった。病棟のCPA群による蘇生率はA群47.1%B群43.9%(p=0.557)、生存退院率はA群17.6% B群9.7%(p=0.157)、非CPA群の生存退院率はA群46.2%B群54%(p=0.735)であった。
【結論】CPA症例の生存退院率は改善傾向にあり、これは初動の遅滞がない本システムの有効性と、BLSに則った的確な初期対応がされたと推定される。しかしCPA症例の蘇生率は2群間に有位差は無かった。これは、初期対応はしたが患者の治療方針が心肺停止時DNARと確認されている場合が含まれているためと考えられる。非CPA症例が少ないのは、職員がAED緊急警報システムをRRSに応用していることを十分に理解していないことや、患者の状態変化に気付くのが遅い可能性、AED使用をためらう気持ち、などが推測された。また、非CPA症例中の生存退院症例数がほぼ半数を占めるのは、原疾患の経過に依存していたためと考えられた。今回、1.AEDを開扉する看護師の心理を明らかにする2.初期対応技術やフィジカルアセスメント能力向上、が課題であることが明確になった。
【目的】AED緊急警報システムの作動状況と院内発症急病患者の蘇生率・生存率を検証し、システムの問題点と課題を明確にする。
【方法】2013年4月から2018年3月までのAED使用症例(A群)を対象とし、場所・患者接触時の初期心電図・蘇生率・生存率・予後を、2006年4月から20013年3月までのデータ(B群:日救急医学会誌.2014;25:453)と比較検討した。
【結果】AED使用症例は、A群148例(男性92例・女性56例・平均年齢73歳)、B群で201例(男性126例・女性75例・平均年齢75歳)であった。使用場所は腎臓内科病棟が最多で(A群25件、B群31例)、次に呼吸器内科病棟が(A群12件、B群20例)であった。接触時CPAはA群103例B群164例、非CPAはA群45例B群37例であった。病棟のCPA群による蘇生率はA群47.1%B群43.9%(p=0.557)、生存退院率はA群17.6% B群9.7%(p=0.157)、非CPA群の生存退院率はA群46.2%B群54%(p=0.735)であった。
【結論】CPA症例の生存退院率は改善傾向にあり、これは初動の遅滞がない本システムの有効性と、BLSに則った的確な初期対応がされたと推定される。しかしCPA症例の蘇生率は2群間に有位差は無かった。これは、初期対応はしたが患者の治療方針が心肺停止時DNARと確認されている場合が含まれているためと考えられる。非CPA症例が少ないのは、職員がAED緊急警報システムをRRSに応用していることを十分に理解していないことや、患者の状態変化に気付くのが遅い可能性、AED使用をためらう気持ち、などが推測された。また、非CPA症例中の生存退院症例数がほぼ半数を占めるのは、原疾患の経過に依存していたためと考えられた。今回、1.AEDを開扉する看護師の心理を明らかにする2.初期対応技術やフィジカルアセスメント能力向上、が課題であることが明確になった。