第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

RRS

[O152] 一般演題・口演152
RRS05

2019年3月3日(日) 11:35 〜 12:25 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:渥美 生弘(聖隷浜松病院救命救急センター)

[O152-1] RRS導入による敗血症スクリーニングとしてのスコアリングシステムは有用か?

赤塚 正幸, 巽 博臣, 黒田 浩光, 後藤 祐也, 片山 洋一, 数馬 聡, 升田 好樹 (札幌医科大学医学部 集中治療医学)

【はじめに】ICU での早期治療介入を必要とする病態の一つに敗血症があるが, 近年ICU外での敗血症のスクリーニングに quick SOFA(qSOFA)の利用が提唱されている.一方,Rapid Response System(RRS)は, 院内患者の心停止などの急変を未然に防ぐシステムであり,RRS起動患者には敗血症も多く含まれている.しかしRRSの起動と敗血症の早期診断に関するエビデンスは明らかではない. 【目的】RRS起動患者に含まれる敗血症をスクリーニングするための各種スコアの有用性について検討する. 【対象と方法】2013年6月から2018年6月までの期間に当院でRRSが起動した症例を対象とした.当院でのRRS起動基準は1)呼吸数>30回,2)心拍数>130,3)収縮期血圧<90,4)SpO2<90%,5)意識の変容,6)懸念事項の存在,のいずれかを満たした場合としている.検討項目は, RRS起動時のqSOFA, National Early Warning Score(NEWS), SIRS,ならびにRRS起動日におけるSOFA scoreとした.感染症が疑われる症例に関してはSepsis-3にしたがって敗血症の診断を行い,各スコアにおける敗血症群と非敗血症群の比較を行った. 【結果】対象期間におけるRRS起動症例は208例であった. そのうち敗血症群は72例で非敗血症群は136例であった. 両群におけるqSOFA score , NEWS,SIRS項目数,SOFA scoreの比較では敗血症群において有意に高かった(それぞれp=0.127, p=0.001, p=0.001, p=0.001). また, それぞれのスコア毎にreceiver operating characteristic (ROC)曲線を求めROC曲線下面積(AUC)を算出したところ, qSOFA, NEWS, SIRS, SOFA scoreでそれぞれ0.550, 0.652, 0.740, 0.709であり,SIRS項目が最も高く,qSOFAスコアが最も敗血症スクリーニング能力が劣っていた. 【結語】バイタルサインの異常に基づくRRS起動患者では,1/3が敗血症患者であった.敗血症の早期診断スクリーニングとして, NEWSやSIRSは予測ツールとしての可能性を持つ一方で, qSOFAは他のスコアリングよりも劣る結果となり, 一般病棟での敗血症スクリーニングとしてのqSOFAの限界が本検討から考えられた. 一般病棟,特にRRS起動での敗血症スクリーニングには感染症に特異的なパラメータを含むスコアリングの必要性も考えられ,意外にSIRSやNEWSも一般病棟での敗血症スクリーニングとして有用なスコアである可能性があると考えられた.