第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

呼吸 研究

[O153] 一般演題・口演153
呼吸 研究05

Sun. Mar 3, 2019 8:45 AM - 9:35 AM 第15会場 (国立京都国際会館1F Room H)

座長:相嶋 一登(横浜市立市民病院臨床工学部)

[O153-1] 臨床工学技士によるSBTの評価支援の妥当性について

小山 昌利1, 横山 俊樹2, 春田 良雄1, 川瀬 正樹4, 平澤 純3 (1.公立陶生病院 臨床工学部, 2.公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科兼救急部集中治療室, 3.公立陶生病院 中央リハビリテーション部, 4.公立陶生病院 救急部集中治療室)

【はじめに】 人工呼吸器から早期離脱の評価方法としてSBT(Spontaneous Breathing Trial)が推奨されており、当院でも医師主導にてSBTを施行している。Girardらによると医師以外の多職種のスタッフが参画し、プロトコルに沿って離脱を進めれば人工呼吸器期間が短縮すると報告されており、多職種での介入は重要である。当院でも、毎日のSBTを施行するにあたって、医師とともに多職種での評価を並行して行うことで、より早期からの抜管戦略も検討したいと考えている。特に臨床工学技士が人工呼吸器設定を確認、調整し、換気条件等について評価を行うことはよりSBTの妥当性を高める可能性があると期待される。しかしコメディカルによるSBTの安全性は十分に評価できておらず、誤った評価は離脱の遅延や再挿管のリスクの増加となることが懸念される。今回我々はSBT施行時に臨床工学技士と医師とで同時評価を行っていた症例について、その結果の差異について検討を行い、妥当性を評価した。【対象と方法】 単施設における後ろ向き観察研究。2017年1月~2018年4月までの期間、集中治療室にて人工呼吸管理を施行し、人工呼吸器離脱評価において医師・臨床工学技士双方が同時にSBTの評価を行っていた症例を対象とした。項目として換気量・呼吸数、RSBI(Rapid shallow breathing index)の評価を行い、SBT中の非定量的な評価やカフリーク結果も考慮し抜管の可否についての評価も行った。比較検討にはPearsonの相関係数と抜管の可否の一致率にはKappa係数を用い分析を行った。【結果】期間中、医師・臨床工学技士双方同時にSBT評価を行い得たのは148回(108例)だった。SBTの結果としてはうち109回(73.6%)が抜管可能と評価されていた。SBT評価の妥当性についての結果として換気量は (r=0.795,p<.001)、呼吸数 (r=0.783, p<.001)、RSBIは(r=0.912, p<.001)だった。 抜管の可否についてはSBTクリアと判断したのは医師73.6%、臨床工学技士73.6%と同等であり、k=0.965と高い一致率となった。【考察】 SBT施行時、離脱基準などプロトコルを用いSBTの評価を行うことで、医師と同等の評価が可能であり、安全に施行することは可能と示唆された。しかし、SBTの評価は客観的指標だけではなく、呼吸困難や不安感、呼吸補助筋の使用などといった非定量的なものを含め評価することが重要であるため、多職種で情報を共有することが求められる。