第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

呼吸 研究

[O153] 一般演題・口演153
呼吸 研究05

Sun. Mar 3, 2019 8:45 AM - 9:35 AM 第15会場 (国立京都国際会館1F Room H)

座長:相嶋 一登(横浜市立市民病院臨床工学部)

[O153-6] 喀痰咯出困難症例に対してカフアシストを導入し良好な排痰が得られた症例

高橋 亮太 (三菱京都病院 診療技術部 臨床工学科)

【はじめに】機械による咳介助(MI-E)は、マスクや人工気道を介して患者と接続し、気道・肺に対して陽圧と陰圧をかけることで機械的に深呼吸と咳嗽を補助し、気道クリアランスの改善を図る方法である。今回我々は術後咳嗽力が弱く、自己による喀痰喀出困難な症例にPHILIPS社製カフアシストE70(以下カフアシスト)を使用し良好な排痰が得られた症例を経験したので報告する。【症例】76歳男性、既往歴はCKD3b、高血圧、AR1~2度、MR3度であった。喫煙歴はなく呼吸機能は1秒量1.70、1秒率82.1%、%VC80.0%であり、待機的に解離性大動脈瘤、僧帽弁逆流に対して弓部置換と僧帽弁置換術を施行した。【経過】術後酸素化、循環動態など安定していたため11時間程で抜管に至った。リザーバーマスク下酸素12LでSpO2 92~95%で推移していたが、排痰が難しく術後2日目には気管支鏡を施行し粘稠痰が引けた。術後3日目よりネーザルハイフロー(NHF)(40L60%)を導入し、経過は良好であったが依然咳嗽力が弱く、湿性咳嗽であったが自己排痰は実施できない状況が続いていた。鼻腔より吸引を行うと淡血性粘稠痰が中等量から多量に引けたが、同時に吸引時心房細動へ移行することもあった。吸引カテーテル挿入時の拒否反応が見られたため、術後6日目のICUカンファレンスにてカフアシストを導入することとなった。【方法】カフアシスト施行時間は11時、16時、21時の1日3回で、11時はICU看護師とICU担当のCE、16時はICU看護師とICU担当のCEと理学療法士、21時はICU看護師2名で行った。設定は手動モード、吸気圧25cmH2O、呼気圧-25cmH2O、周波数20Hz、オシレ-ションは吸気・呼気の両方、吸気時間約3秒、呼気時間約3秒、一時停止時間約2秒で声をかけサポートしながら施行した。【結果・考察】カフアシスト導入後より排痰時の苦痛軽減を認め、排痰意欲の増加につながった。またカフアシストの陽圧効果により酸素化も改善しNHFも離脱することが出来た。導入時はカフアシストでの排痰が9割、自己排痰1割程であったが、導入1日目にはカフアシストの併用により得られた排痰の内カフアシストで3割、自己で7割程度まで自己排痰が得られるようになった。【結語】開心術後の喀痰咯出困難症例に対してカフアシストを導入し良好な排痰が得られた症例を経験した。カフアシストは吸引時の苦痛を緩和するとともに排痰意欲の増加につながることも大きなメリットとなりえることが示唆された。