[O154-2] 完全調節換気環境下における搬送用人工呼吸器Oxylog3000Plus用ディスポーザブル呼吸器回路の実験的比較検討
【背景】ドレーゲル社製搬送用人工呼吸器Oxylog3000Plus(以下O3P)用ディスポーザブル呼吸器回路としてドレーゲル社製純正回路(以下DV回路)とIS社製回路(以下IS回路)の2種類が国内で使用可能となっている。しかし、それぞれの回路には素材や圧計測構成に異なる点がみられる。【目的】モデル肺(ドレーゲル社製SelfTestLung)を用いて、完全調節換気環境下においてO3P用ディスポーザブル呼吸器回路2種類の換気動作に差があるか波形解析から評価を行い、比較検討する。【方法】DVおよびIS回路2種類(n=2)に接続したモデル肺(コンプライアンス設定なし)の間に計測器imt社製PF-300(補正;BTPS)を接続し、それぞれPC/BIPAPモードおよびVC/CMVモード下(固定条件:f;8、Ti;1.5秒、圧力立ち上がり時間;最大、PEEP;5cmH2O、AutoFlow付加)で異なる酸素濃度設定時(40、100%)における各Pinsp(10、30、50cmH2O)、1回換気量(300、700、1500ml)の3点ずつ計測した。計測方法は換気開始から120秒間(測定間隔:0.05秒)記録を行い、計測終了前10波形(圧・フロー波形)の数値化(平均化および標準偏差)を行い、評価する。【結果】完全調節換気環境下ではDV・IS回路おいて、圧・量規定、設定酸素濃度、設定吸気圧、設定1回換気量の変化により、最大吸気圧(cmH2O)、設定吸気圧到達時間(秒)、吸気終末圧(cmH2O)、設定呼気終末圧到達時間(秒)、1回換気量(ml)にそれぞれ1計測10波形内毎の数値にばらつきを認めたが、DV・IS回路2群間に臨床上影響するような差異は認められなかった。IS回路はDV回路と比べ、設定圧維持時において上下に揺れる圧・フロー波形(振幅)を呈し、設定吸気時間終了時(最大吸気圧)から設定呼気終末圧到達までへの移行時において、より顕著に揺れ幅が大きくなった。【結語】今回の検討では完全調節換気環境下ではO3P用ディスポーザブル呼吸器回路2種に臨床上の差異は少ないことが示された。しかし、揺れ幅(振幅波形)が異なったことから本研究ではバッキング等で急峻に回路内圧が変化した際の圧維持性能に差がないことを否定できないため、今後の検討課題とした。