第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

呼吸 症例

[O156] 一般演題・口演156
呼吸 症例06

Sun. Mar 3, 2019 11:15 AM - 12:15 PM 第15会場 (国立京都国際会館1F Room H)

座長:北別府 孝輔(倉敷中央病院 集中医療センター)

[O156-6] ICU患者の口渇の評価と記録の導入に向けた取り組み

荒井 由紀, 堀越 さお織, 山口 庸子, 内野 滋彦, 宮城 久仁子, 瀧浪 將典 (東京慈恵会医科大学附属病院 看護部 ICU)

【背景】近年、口渇はICU患者の苦痛の上位に挙げられ、注目されている。ICU患者のストレスの実態と関連要因を後ろ向きに調査した先行研究では、7割近くが「口渇」を中程度~非常に強い主観的ストレスとして経験していた。しかし、口渇は主観であり評価が難しく、口渇の評価方法に関しては未だに確立されたものがない。当院ICUにおいても口渇は頻繁に遭遇する訴えであったが、統一した評価方法に基づく記録が十分になされていなかった。そのため、評価方法の統一と記録の整備に取り組むこととした。【目的】主観的および客観的な口渇の記録と統一した評価方法を導入する。【方法】<対象>当院ICUに在籍している看護師<導入経過>(1)2017年6月~2018年1月:コアメンバーで評価と記録の方法を検討。客観的評価は「口渇Oral Assessment Guide(一部抜粋)」(以下OAG)、主観的評価は「Numerical Rating Scale」(以下NRS)。対象はICUに入室した全症例とした。(2)2018年2月:スタッフへの周知を行い、評価、記録を開始。ブリーフィングやデブリーフィング、ポスターの掲示、スタッフへのフィードバックを行った。(3)2018年5月:現状を評価し修正。NRSでの評価は難しく、主観的評価を「喉の渇きの有無」へ変更。また、記録漏れがないように、電子カルテ内での記録場所を工夫した。【結果】2018年6月1日~2018年8月31日の3か月にICUに入室した18歳以上の患者480例のうち、一度でも口渇の評価、記録がされていた症例は345例で、口渇OAGによる客観的評価は計1579回(一人当たり平均4.6回)、喉の渇きの有無による主観的評価は計1637回(一人当たり平均4.7回)に施行されていた。【結論】口渇評価方法の統一と記録の整備を実施した結果、全成人患者の約7割で主観および客観的評価と記録が行われていた。タイムリーに評価するうえで、口渇OAGと喉の渇きの有無の2項目は有用であった。ICU入室患者の苦痛の上位にある口渇の実態を知ることで、今後は効果的なケアの介入につなげていきたい。