[O158-2] 間質性肺炎急性増悪に対してVV ECMO導入した 2症例の血清マーカーの経時的変化
［背景］我々はこれまで間質性肺炎急性増悪に対するveno-venous extracorporeal membrane oxygenation(VV ECMO)の臨床的有用性を病理学的観点から報告してきた．［目的］間質性肺炎急性増悪患者におけるVV ECMO導入後の種々の血清タンパク質濃度の経時的変化について検討する．［方法］広島大学病院 intensive care unit (ICU)に入室した，間質性肺炎急性増悪患者2症例．2症例とも人工呼吸管理を開始し，その後VV ECMOを導入した．VV ECMO導入前および導入後のInterleukin (IL)-6, IL-8， Angiopoietin (Ang) 2, Receptor for advanced glycation end products (RAGE), Surfactant protein SD (SP-D)の経時的変化をELISA法を用いて測定した． ［結果］症例１：69歳，男性．ステロイドパルス施行後呼吸状態は改善しVV ECMO導入16日後に離脱した．ECMO開始前491.6 pg/mLだったRAGEは開始3時間後には212.1 pg/mLとなり，ECMO離脱時には19.0 pg/mLまで低下した． 症例2：57歳，男性．VV ECMO導入から8日後に離脱した．ECMO開始前RAGE3322.6 pg/mL，開始6時間後2927.4 pg/mLとなった．その後197.5 pg/mLと低下し，離脱後も低値を維持した． 両症例ともにECMO挿入期間中の血清RAGE値は，導入後より徐々に低下する傾向にあり，離脱後もその低値を維持していた．しかしそれ以外のバイオマーカにECMO前後に変化はなかった。RAGEは他の正常組織と異なり正常肺に多く存在している．ARDSを含む肺疾患へのRAGEの関与が報告されているが，詳細はまだ不明な点が多い．しかし少なくとも間質性肺炎急性増悪において生理学的・病理学的観点から重要な役割を担っている可能性が考えられた．［結語］VV ECMOから生存離脱した2症例で，血管新生マーカーであるRAGEがECMO導入後から経時的に低下しており，予後・合併症との関連性を検討する余地がある．