[O158-6] 当院における敗血症性ショックに対するVA-ECMO導入基準の検討
【背景】治療抵抗性の敗血症性ショックに対するVA-ECMOの有効性は明らかではない。【目的】当院で経験した症例から、敗血症性ショックに対するVA-ECMOの予後因子について調査し、導入基準について検討すること。【方法】2016年4月から2018年9月まで(2年6か月)の間に当施設で敗血症性ショックに対してVA-ECMOを導入した症例を対象として、患者背景、検査値、治療内容、予後を後ろ向きに調査し、生存群と死亡群で比較した。【結果】対象症例は5例(腹部感染症3例、肺炎1例、菌血症1例)で、生存2例 (40%)、死亡3例 (60%)であった。生存、死亡群の年齢の中央値は71.5 vs. 78.0歳 (p=.800)、VA-ECMO導入前の最高血清乳酸値の中央値は7.6 vs. 14.2 mmol/L (p=.083)であった。VA-ECMO導入前のノルアドレナリン投与量、バソプレシン投与量、vasoactive inotrope score (VIS)の中央値は生存、死亡群でそれぞれ0.35 vs. 0.30 mcg/kg/min (p=.767)、0.04 vs. 0.04 unit/min (p=1.000)、40.6 vs. 35.6 (p=.800)であった。VA-ECMO導入前に心停止を認めた症例は生存群0 (0/2, 0%) vs. 死亡群2 (2/3, 66.7%) (p=.136)であった。【結論】以前の報告ではVA-ECMO導入前の心停止が死亡と関連すること、VA-ECMO導入前後の高乳酸血症と死亡との関連性を指摘されており、当施設でも同様の傾向だった。心停止前のVA-ECMO導入が重要と考えられ、心停止前にVA-ECMO導入を決断するために、適切な輸液負荷に加え一定量の昇圧剤(ノルアドレナリン0.25mcg/kg/min以上かつバソプレシン0.03unit/min以上)の投与でも循環動態が不安定もしくは乳酸値上昇が継続する場合VA-ECMO導入を考慮する。