第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

精神・心理

[O159] 一般演題・口演159
精神・心理

Sun. Mar 3, 2019 10:35 AM - 11:25 AM 第16会場 (国立京都国際会館2F Room I)

座長:安宅 一晃(奈良県総合医療センター集中治療部)

[O159-1] 緊急入室したICU患者でのPost-intensive care syndromeの縦断研究:中間報告

柴田 真未1, 宮本 恭兵1, 米満 尚史1, 金子 政弘2, 中島 強1, 柴田 尚明1, 小川 敦裕3, 島 望4, 加藤 正哉1 (1.和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座, 2.和歌山県立医科大学 外科学第一講座, 3.東京ベイ・浦安市川医療センター, 4.聖マリアンナ医科大学 放射線医学)

【背景】集中治療の進歩により救命率が向上する一方で、集中治療後の長期予後が注目されている。集中治療後の認知・身体機能障害、精神疾患はpost-intensive care syndrome (PICS)と称され、海外では約半数程度に生じるという報告があるが、日本での疫学を調査した研究はない。【目的】本邦におけるPICSの疫学を明らかにする。【方法】2016年9月から2018年8月まで当院ICUに緊急入室した成人患者を対象とした。ICU退室後3か月時点・1年時点でアンケートを郵送し、日常生活動作の評価としてBarthel index、不安・抑うつ症状の評価としてHospital anxiety and depression scale (HAD尺度)、PTSD症状の評価としてImpact of Event Scale-Revised (IES-R尺度)を調査した。【結果】ICU退室3か月後のアンケートは82例中65例(79%)、1年後は53例中39例(74%)の返信を得た。そのうち、頭部外傷、脳卒中などの意識に直接影響を与える疾患や24時間以内に退室した症例を除外し、3か月後、1年後それぞれ51例、32例について検討した。3か月後のBarthel index、HAD尺度、IES-Rの回答はそれぞれ51例(100%)、37例 (73%)、36例 (71%)で得られた。日常生活動作Barthel indexの低下は29例(57%)で認められた。不安症状・抑うつ症状であるHAD尺度の上昇を強く認めたのはそれぞれ、18例 (49%)・21例 (57%)だった。PTSD症状を示すIES-Rの上昇を認めたのは8例 (22%)だった。また、1年後に関してはBarthel index、HAD尺度、IES-Rの回答はそれぞれ31例(97%)、27例 (84%)、25例 (78%)で得られた。Barthel indexの低下は5例(16%)、HAD尺度の上昇を認めたのはそれぞれ、16例 (59%)・17例 (63%)だった。IES-Rの上昇を認めたのは8例 (32%)だった。【結語】集中治療後3か月後で約6割に生じていた身体機能障害は1年後には減少していたものの、抑うつ・不安症状、PTSD症状に関しては1年後でも依然として約3~6割に生じていた。