第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

精神・心理

[O159] 一般演題・口演159
精神・心理

2019年3月3日(日) 10:35 〜 11:25 第16会場 (国立京都国際会館2F Room I)

座長:安宅 一晃(奈良県総合医療センター集中治療部)

[O159-2] 高齢心臓血管外科術後患者の睡眠状態と回復意欲の関連

近藤 直子 (東京女子医科大学八千代医療センター 看護局 ICU/CCU)

【目的】心臓血管外科の手術を受ける高齢者の睡眠状態と回復意欲、ならびに睡眠状態と回復意欲との関連を明らかにすること。【方法】データ収集期間:平成29年5月~平成29年10月 対象:人工心肺を使用した心臓血管外科の予定手術を受けた65歳以上のもの 調査内容1)睡眠状態(1)客観的睡眠:マット型睡眠計を使用し、21時~翌朝6時まで9時間の各睡眠深度(1.深睡眠 2.浅睡眠 3.レム睡眠 4.覚醒)の出現量を測定した。(2)主観的睡眠:OSA-MA起床時睡眠感調査票による睡眠因子を用い、看護師が対象者に尋ねた。2)回復意欲:食欲,胃腸の調子,周囲への関心,回復への気持ち,安堵感の各項目を視覚的評価スケール(Visual Analogue Scale;以下VAS)を用い尋ねた。倫理的配慮:術前に文書と口頭で研究の主旨と方法等を説明し、自由意思に基づき文書で同意を得た。個人情報は匿名化し分析を実施した。研究協力施設の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号28-087(8330),4386)。【結果】対象者は7名。客観的睡眠測定では、深睡眠1.1%、浅睡眠75.3%、レム睡眠9.7%、覚醒14%であった。術後日別の主観的睡眠感と回復意欲各項目間で相関がみられたのは、起床時眠気なしと回復意欲食欲の術後4日目がr=0.80(p<0.05),周囲への関心の術後2日目r=-0.80(p<0.05)と術後4日目r=0.80(p<0.05)、回復への気持ち術後4日目r=0.87(p<0.05)、安堵感の術後4日目r=0.83(p<0.05)だった。入眠と睡眠維持と胃腸の調子の術後1日目r=0.85(p<0.05)、周囲への関心の術後2日目r=-0.74(p<0.05)だった。疲労回復は、食欲の術後1日目r=0.84(p<0.05)、胃腸の調子の術後1日目r=0.86(p<0.05)、安堵感の術後4日目r=0.78(p<0.05)だった。睡眠時間は胃腸の調子の術後1日目r=0.79(p<0.05)、周囲への関心の術後2日目r=-0.80(p<0.05),周囲への関心術後3日目r=-0.91(p<0.05)、第5因子と安堵感の術後4日目r=0.76(p<0.05)であった。【結論】心臓血管術後の高齢患者の夜間の睡眠は、健常の65歳の睡眠に比べ、深睡眠、レム睡眠の低下に加え浅睡眠の増加及び中途覚醒がみられた。主観的睡眠感も中途覚醒を示していた。回復意欲と睡眠の関連では、朝の眠気がないと感じる者は回復への気持ちも強まるという結果であった。