第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

精神・心理

[O159] 一般演題・口演159
精神・心理

Sun. Mar 3, 2019 10:35 AM - 11:25 AM 第16会場 (国立京都国際会館2F Room I)

座長:安宅 一晃(奈良県総合医療センター集中治療部)

[O159-3] 外傷外科ICU退院1年後の健康状態:Co-occurrence of Intensive Care Syndrome Problem

齋藤 伸行, 岡田 一宏, 久城 正紀, 太田黒 崇伸, 八木 貴典, 松本 尚 (日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター)

【背景】集中治療を要した患者の長期転帰の改善は、新たな治療目標として注目されているが、本邦における臨床情報は少ない。【目的】外傷外科ICU退院後の健康状態を明らかにすること。【方法】2016年1月から2017年7月までに当院外傷外科ICUに2日間以上入院した成人患者で、生存退院から1年以上が経過した392名を対象とした。健康度調査にSF-36と厚労省基本チェックリスト(KCL)を用いた。SF-36の身体的健康度(PCS)、精神的健康度(MCS)が標準値の25パーセンタイル以下を不良と判断した。認知障害(CI)はKCLで評価した。前述のいずれかに該当した場合をICU後症候群(PICS)とした。(H29年度科研費助成17K11594)【結果】392名中15名(3.8%)は転院先で死亡し、37名(9.4%)は施設入所中であった。自宅へ生存退院し有効回答を得た196名の平均年齢は63.1歳、男性が65.8%、外傷が87.8%を占めた。調査時点でPICSは196人中97人(49.5%)に認め(PCS不良:74人[37.8%]、MCS不良:38人[19.4%]、CI:23人[11.7%])、そのうち同時に複数の問題を抱えていたのは34人(35.0%)であった(図)。PICSを認めた80人(82.4%)は自宅退院後に身体的・精神的問題があり、33人(34%)は金銭的困難を経験していた。独立したPICS関連因子は、入院中のせん妄(OR:4.07、95%CI:1.82-9.08, P<0.01)のみであった。【結語】外傷外科ICUから生存退院し1年経過した後でも、約50%がPICSを認めた。複数の問題を同時に抱えており、患者一人一人に対する固有のケアが必要と考えられた。また、PICS予防には入院中のせん妄対策が重要である。

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