[O16-6] 人工呼吸管理を要した敗血症患者におけるDexmedetomidineの効果に与える年齢の影響:DESIRE Trialサブ解析
背景:これまで年齢がDexmedetomidine (DEX)の臨床効果に与える影響について明らかにされていない.目的:人工呼吸管理を要した敗血症患者に対するDEXの鎮静効果の年齢による違いを検討すること.方法:DESIRE Trial は2013年2月から2016年1月に実施した人工呼吸管理を要する敗血症患者におけるDEXを用いた鎮静方針のランダム化比較対照試験である。同試験に登録された201名の敗血症患者を、年齢の中央値(71歳)で2群に分け,それぞれの群においてDEX群と非DEX群間における,割付後7日間における適切な鎮静(RASS:-3~+1)の割合と昏睡(RASS:-4と-5)あるいはせん妄(CAM-ICU陽性)の発生を一般化線形モデル(GENMOD procedure with logit function)を用いて分析した.また,同期間における他の鎮静薬の使用量もMann-Whitney U testで解析した.結果:適切な鎮静患者の割合は,71歳以上においてDEX群は非DEX群よりも有意に高く(range,14~52% vs 16~27%;P=0.01),71歳未満では有意差を認めなかった(range,20~64% vs 24~60%;P=0.73).昏睡やせん妄の発生頻度については71歳以上,71歳未満それぞれにおいて,DEX群、非DEX群間に有意差を認めなかった.71歳以上ではDEX群で他の鎮静薬の使用量(プロポフォール(中央値(四分範囲),7.5(0-735) vs 1115(0-2880);P=0.003),ミダゾラム(0(0-0) vs 0(0-81.3);P=0.002))が少なく,鎮静管理に影響した可能性があった.重要な副作用である徐脈は,71歳以上ではDEX群で4名,非DEX群で2名,71歳未満ではDEX群で2名,非DEX群で1名に生じた.結語:より高齢の敗血症患者においては,DEXはより適切な鎮静導入に効果的である可能性がある.