[O160-2] 小児患者の家族満足度調査フォーマットEMPATHIC questionnaireの翻訳
【目的】 ヘルスケア分野においても対象者(患者)主導によるヘルスケアが質改善に寄与することが示唆されていることからも、医療の質を測るうえで、本来(患者と)家族の医療への満足度は中核となるべきである。全世界的にも患者と家族の医療への参加、患者自身の主観的な医療への質の評価が重要であることは報告され始め既に欧米では広く行われている。日本国内においても患者家族を中心とした医療の重要性が叫ばれているものの、未だ患者と家族の医療への満足度に関する標準的なツールを用いた客観的な評価はなされていない。本研究は日本国内の小児領域での患者と家族中心の医療の実現の為に、すでに国際的に標準化された小児集中治療室(PICU)の医療と看護の質に関する質問用紙”EMPATHIC 30 questionnaire”を、国内PICUにおいて広く使用できるようにすることを目的とする。【対象と方法】原作のオランダ語から国際医薬経済・アウトカム研究学会(ISPOR)が推奨する文化的背景を考慮した翻訳手法を使用し翻訳を行った。なお、翻訳の文化的調和に関しては既にオセアニア圏において翻訳を行っているオーストラリア(Curtin University)、アジア圏において翻訳を行っているシンガポール(KK Women's and Children's Hospital)の協力を得てそれぞれの文化圏での翻訳を参考にして、原作者であるDr.Jos Latour (University of Plymouth)と共に翻訳を行った。【結果】日本語版EMPATHIC 30 questionnaire(EMPATHIC 30-JPN)の作成に当たり”侵襲的な処置の間も常に子供の側にいることができた”、”集中治療室との電話連絡は容易にとれた”の二項目についてはシンガポール版においては文化的にそぐわないとして変更しており、アジア圏にある日本においても同様ではないか議論された。その結果、侵襲的な処置の間に親が付き添いたいというニーズが無いとは言い切れないという観点と、プライバシーの問題を考慮した上でも電話連絡での情報共有に関しての親のニーズを拾うことができなくなることが危惧されることから原作に沿った翻訳を遂行した。【結論】日本語版EMPATHIC 30 questionnaire(EMPATHIC 30-JPN)を作成した。今後は、本ツールの妥当性を検証すると共に、国内PICUにおける多施設研究が望まれる。