第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

新生児・小児 研究・経験

[O160] 一般演題・口演160
新生児・小児 研究・経験01

2019年3月3日(日) 08:45 〜 09:25 第17会場 (国立京都国際会館2F Room J)

座長:中田 諭(聖路加国際大学看護学研究科)

[O160-4] ECMO関連処置の準備時間短縮に向けた取り組み

塚原 怜子1, 新井 朋子1, 芦川 千穂1, 渡辺 美幸1, 佐々木 優果1, 加藤 妙子1, 居石 崇志2, 山本 裕介3, 齊藤 修2, 清水 直樹2 (1.東京都立小児総合医療センター 看護部 PICU, 2.東京都立小児総合医療センター 救命集中治療部, 3.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科)

【背景】当院の主なECMO関連処置は、導入(開胸または頚部・鼠径カットダウン)、回路交換、開胸中の胸腔内洗浄などである。処置は、集中治療科医師、心臓血管外科医師、外科医師によって行われ、ECMO回路以外の物品は看護師が準備している。以前から処置用の物品カートはあるが、各科で使用する物品が異なるため、手術室から借用する物品が多いこと、看護師の業務手順はあるが、慣れていないと準備方法が分かりにくく、準備に時間を要していた。2017年に関連各科でワーキンググループを立ち上げ、安全かつ短時間でECMO関連処置を実施するために、まずは、緊急時に誰でも同様に準備できるよう物品カートや準備方法の見直しを行ったため報告する。【目的】ECMO関連処置の準備時間短縮に向けた取り組みの効果を明らかにする。【方法】取り組み前後でECMO導入準備にかかった時間(医師によるECMO導入宣言から手術を始められる状態まで)の比較を行った。また、取り組み後に、看護スタッフからの意見を聴取した。【結果】取り組んだ内容は、1医師の手技の標準化と簡略化、2処置時使用物品の削減とセット化、3物品準備リストの改訂、4全看護スタッフへの周知、5ECMOの受け持ち未経験者の処置への積極的参加である。準備物品は、手術室から借用していた物品カート2台が不要になり、器械台に展開する物品は46個から29個へ削減した。取り組み前(2015~2017年)にECPRになった患者のうち、導入準備にかかった時間が記録上分かるものは9件あり、中央値は31分(20~68分)であった。取り組み後にECPRになった患者は1名で、導入準備に要した時間は20分であった。ECMO関連処置に参加した看護師への聞き取りでは、「とても分かりやすくなった。」「簡単にできた。」などの意見が聞かれ、ECMO患者受持ち未経験の看護師でも、処置の準備が行えるようになった。【結論】生命に直結するECMO関連処置を安全かつ短時間で行えるようにするために、処置の標準化や物品のセット化・リスト化は有効であった。ECMO患者受持ち未経験の看護師が処置に積極的に参加できる環境を作ることが重要であった。