[O160-5] 先天性心疾患患者にパルスオキシメータを2つ付けることがアラーム数に与える影響
【背景】先天性心疾患を持つ小児では動脈管を介した右左シャントなどが原因で、上下肢の動脈血酸素飽和度に差が出ることがあり、パルスオキシメータを2つ付けることがある。しかし、余分なパルスオキシメータは患者の不快感等の原因になるだけでなく、偽アラームが増えることで患者の睡眠の障害や医療従事者のアラーム疲労につながり得る。余分なパルスオキシメータによるアラーム数増加の現状を把握することで、今後、介入により偽アラームを減らせる可能性がある。
【目的】当センターPICUにおける先天性心疾患を持つ患者に対するパルスオキシメータの使用実態および余分なパルスオキシメータによるアラームの増加の有無を調査すること。
【方法】2017年8月から11月までに、心臓カテーテル検査後にPICUに入室し、2暦日のみ滞在した全患者を対象とした。患者特性やパルスオキシメータによる総アラーム数を電子カルテから後方視的に取得した。パルスオキシメータが1つの患者群をO群、2つの群をT群とし、パルスオキシメータによる総アラーム数を主要評価アウトカムとし、2群間で比較した。統計学的検定にはウィルコクソンの順位和検定またはフィッシャーの正確確率検定を用い、有意水準は5%とした。また、T群の各患者においてパルスオキシメータが2つ必要だったかを検証した。
【結果】対象となった21人の患者のうちO群が10人、T群が11人であった。O群とT群で、年齢・体重・ICU在室時間・抜管までの時間・静注鎮静薬が投与された患者の比率に差はなかったが、チアノーゼのある患者の比率はO群よりT群の方が有意に高かった(20 vs. 82%, p=0.009)。パルスオキシメータによる総アラーム数は、O群とT群でそれぞれ8(5.25―11)と38(24.5―57)で、T群で有意に多かった(p=0.0002)。O群とT群それぞれにおいて、チアノーゼの有無でアラーム数の有意差はなかった。T群で血行動態的に上下肢に酸素飽和度の差が出うる患者は0人であった。
【結論】先天性心疾患を持つ患者、特にチアノーゼ性心疾患の患者では、パルスオキシメータが2つ付けられていることが多かった。しかし、循環動態からパルスオキシメータを2つ付けることが正当化される患者はおらず、2つのパルスオキシメータを付けた患者ではアラーム数が有意に多かった。必要のない余分なパルスオキシメータを外すことで偽アラームを減らせる可能性がある。
【目的】当センターPICUにおける先天性心疾患を持つ患者に対するパルスオキシメータの使用実態および余分なパルスオキシメータによるアラームの増加の有無を調査すること。
【方法】2017年8月から11月までに、心臓カテーテル検査後にPICUに入室し、2暦日のみ滞在した全患者を対象とした。患者特性やパルスオキシメータによる総アラーム数を電子カルテから後方視的に取得した。パルスオキシメータが1つの患者群をO群、2つの群をT群とし、パルスオキシメータによる総アラーム数を主要評価アウトカムとし、2群間で比較した。統計学的検定にはウィルコクソンの順位和検定またはフィッシャーの正確確率検定を用い、有意水準は5%とした。また、T群の各患者においてパルスオキシメータが2つ必要だったかを検証した。
【結果】対象となった21人の患者のうちO群が10人、T群が11人であった。O群とT群で、年齢・体重・ICU在室時間・抜管までの時間・静注鎮静薬が投与された患者の比率に差はなかったが、チアノーゼのある患者の比率はO群よりT群の方が有意に高かった(20 vs. 82%, p=0.009)。パルスオキシメータによる総アラーム数は、O群とT群でそれぞれ8(5.25―11)と38(24.5―57)で、T群で有意に多かった(p=0.0002)。O群とT群それぞれにおいて、チアノーゼの有無でアラーム数の有意差はなかった。T群で血行動態的に上下肢に酸素飽和度の差が出うる患者は0人であった。
【結論】先天性心疾患を持つ患者、特にチアノーゼ性心疾患の患者では、パルスオキシメータが2つ付けられていることが多かった。しかし、循環動態からパルスオキシメータを2つ付けることが正当化される患者はおらず、2つのパルスオキシメータを付けた患者ではアラーム数が有意に多かった。必要のない余分なパルスオキシメータを外すことで偽アラームを減らせる可能性がある。