第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

新生児・小児 研究

[O161] 一般演題・口演161
新生児・小児 研究04

Sun. Mar 3, 2019 9:25 AM - 10:05 AM 第17会場 (国立京都国際会館2F Room J)

座長:天笠 俊介(自治医科大学附属さいたま医療センター救急科)

[O161-1] Red cell distribution width (RDW)を用いたRSウイルス感染による呼吸不全の重症化評価

宇城 敦司, 大塚 康義, 山本 泰史, 赤嶺 陽子, 芳賀 大樹, 岩田 博文, 大場 彦明, 數田 高生, 古家 信介, 吉野 智美 (大阪市立総合医療センター 集中治療部)

(背景)赤血球分布幅(RDW)はコストも安く血液検査を行う際に日常的に測定されている検査である。RDWは貧血の鑑別に用いられる指標であるが、成人の呼吸不全のマーカーとしてもその有用性が示唆され、RDWの上昇と呼吸機能障害との関連が報告されている。
(目的)今回、小児、特に乳幼児の呼吸障害の代表的疾患であるRSV細気管支炎において、RDWが呼吸障害の重症化予測因子(PICU入室:人工呼吸管理、あるいは入院の必要性を重症化と定義)となるか?診療録より後方視的に検討を行った。
(方法)2012年4月-2018年4月までに咳嗽や鼻汁などの呼吸器症状を主訴に当センターを外来受診したRSV陽性の15歳未満の小児218例において検討した。各検討項目について、PICU入室例(A群)と病院入院例(B群)と帰宅例(C群)の各群間でそれぞれ検討した。検討項目は、来院時RDW、RDWを値によって1-5段階に層別化したグループ値、来院時のSpO2、呼吸数、心拍数、PvCO2などの血液ガス結果、年齢、体重などの受診時現症、患者背景について検討した。
(結果)A-C群の来院時RDW(中央値)は、それぞれ、13.8、14.1、13.2となり、C群の帰宅例に比べて、A群、B群は有意差をもって高値であった。しかし、A-B群間では来院時RDWに有意差はなかった。RDWの値によって層別化したグループ(中央値)においては、C群が、グループ2(RDW 12.9~13.4)、A、Bの両群がグループ3(RDW 13.5~14.3)となり、グループ3以上で入院例が有意に多くみられた。ROCから算出された来院時RDWのcut off値は13.6、病院入院の必要性を判別するAUCは、 0.669(95%CI 0.57-0.77)であった。年齢、体重において、A群は中央値が2ヵ月、5.5kgと他の群に比べて小さい乳幼児が多くみられた。来院時RDWに年齢、体重を加えた多変量ROCのAUCは、0.749(95%CI 065-0.84)であった。各群間において、呼吸数やSpO2などの来院時の臨床所見には差がみられず、血液ガス上の二酸化炭素分圧のみ、A群が他の群と比較して高値であった。
(結論)RDWを用いて、小児のRSウイルス感染におけるPICU入室(人工呼吸管理)の必要性については判断できなかったが、入院加療の必要性の判断に来院時のRDWが有用であると考えられた。