[O161-2] 当院における小児領域での急性期NPPVの現状と課題
【背景】小児領域における急性期の非侵襲的陽圧換気(NPPV)は、成人領域のような確立されたエビデンスはないが、非侵襲性のメリットもあり有用であるとの報告が増えている。 また近年、小児用マスクのラインナップが増えていることから今後も小児領域の急性期NPPVは増加していくと考えられる。【目的】当院では急性期小児NPPVの人工呼吸器はPHILIPS社製V60(V60)を使用している。V60は適応対象として20kg以上であるが、トリガ-性能など考慮して使用している。そこで今回、V60使用による小児NPPVの施行状況や挿管回避率等について検討した。【対象および方法】新病院開院した2016年7月から2018年6月(24ヵ月)でV60によるNPPVを施行した13名(のべ17例)を対象とした。患者背景は、年齢1ヵ月~13歳(中央値4.3歳)、体重4.5~22kg(中央値9.2kg)であり、12名(92%)で染色体異常、小児低酸素性虚血性脳症、脳性麻痺など基礎疾患があった。【結果】のべ17例のNPPV装着時間は15分~357時間(中央値54時間)であった。使用した人工呼吸器モードはS/T:13例、CPAP:4例であった。NPPV離脱は6例(5例でRTX併用)、在宅へ移行3例で挿管回避は9例(53%)であった。挿管5例(29%)、NPPV拒否が3例(18%)であった。2例でNPPV施行前にハイフローセラピー導入し、その後、NPPVへ変更となった。また、抜管後のNPPV使用が5例(29%)あり、離脱3例、気切1例、再挿管1例であった。【結論】挿管回避率は53%であったが、小児では基礎疾患による慢性的な呼吸障害や、予備能が乏しいなど、また確立したエビデンスもないことから、必要以上にNPPVに頼るべきではない。明確なNPPV中止基準の検討やスタッフ間での共有が必要であると考えられる。今後は、挿管回避率向上に向け、ハイフローセラピーとの使い分け、RTXやMI-Eの併用、マスクフィッティング(種類やサイズ)、設定圧の見直しなど患者の受け入れ向上に向けた工夫が必要である。