第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

新生児・小児 研究・経験

[O162] 一般演題・口演162
新生児・小児 研究・経験02

Sun. Mar 3, 2019 10:05 AM - 10:55 AM 第17会場 (国立京都国際会館2F Room J)

座長:辻尾 有利子(京都府立医科大学附属病院 看護部 PICU)

[O162-1] 我が国の救命センターに搬送された小児におけるpediatric SOFAの妥当性の検討

藤澤 惇平1, 武藤 智和1, 桑名 司2, 木下 浩作2, 森岡 一朗1 (1.日本大学 医学部 小児科学系 小児科学分野, 2.日本大学 医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野)

【背景】2016年にSepsis-3によって、敗血症は、「感染症に伴うSIRS」から「感染に対する制御不十分な生体反応に起因する生命を脅かす臓器障害」と定義が変更され、臓器障害の指標としてSequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアによる評価が採用された。しかし、小児領域では、年齢毎に異なる心拍数や腎機能の正常値に対応できずにいた。2017年にTravis J.らが、心拍数や腎機能の基準値を年齢対応させたpediatric SOFA (pSOFA)を提唱し、小児でSepsis-3に基づく敗血症診断ができるようになった。しかし、欧米より有熱時けいれんの多い我が国では、検証されていない。【目的】我が国の救命センターに搬送された小児においてpSOFAの妥当性を検討する。【方法】研究デザインは単施設の後ろ向き研究である。2015年1月から12月に、当院救命センターに搬送されたpSOFAの対象年齢である21歳以下の入院患者のうち感染症を疑う症例113例を対象とした。病院内死亡率を主要アウトカムとし、入院時のpSOFAを、他の臓器障害のスコアリングであるPELOD、PELOD2とROC曲線におけるAUCで比較した。また、pSOFAの各評価項目を、変数減少法による多重ロジスティック回帰分析し、pSOFAへの影響を比較した。【結果】対象はすべて日本人で、有熱時のけいれんは65例(57%)だった。生存群は107例(95%)、死亡群は6例(5%)であった。AUCはpSOFA 0.836(95%CI, 0.630-0.938)、PELOD 0.764(95%CI, 0.490-0.916)、PELOD2 0.870(95%CI, 0.701-0.950)で、有意差はなかった(p=0.965)。pSOFAを用いたSepsis-3の定義によると108例(95.5%)が敗血症で、pSOFAの中央値は死亡群が9点(IQR, 6.75-10.25)、生存群が6点(IQR, 4-7)だった。pSOFAの評価項目のロジスティック回帰分析では、神経学的項目が抽出された。GCSの中央値は、生存群11点(IQR, 7-14)、死亡群4点(IQR, 3-8)であり、pSOFAの神経学的項目のスコア中央値は生存群2点(IQR, 1-3)、死亡群4点(IQR, 2.5-4)だった。【結語】pSOFAは、PELOD、PELOD2と比べ非劣勢だった。有熱時けいれんが我が国において、pSOFAでは95%が敗血症と診断される。その原因として、pSOFAの神経学的項目が影響している。.