[O162-2] 小児におけるデクスメデトミジン長期投与での離脱徴候と漸減終了の有用性の検討
【背景】デクスメデトミジン(DEX)の長期投与で離脱徴候をおこすことが知られており,予防には漸減での終了が有用である可能性が示唆され,またクロニジン内服も有用とされている.今回,DEX長期投与(本研究においては7日以上と定義)症例での減量の程度と離脱徴候の有無について検討した.【目的】DEX長期投与例における離脱徴候頻度と,離脱徴候予防としてのDEXの漸減終了の有用性を確認する.【方法】当院PICUにおいて2017年4月から2018年8月までの期間に7日間以上DEXを使用した症例23例を対象にDEX減量の程度と離脱徴候の有無を後方視的に検討した.【結果】全23症例において年齢中央値は12.5ヵ月(最小日齢3,最大14歳),総投与期間中央値は12.1日(最長38.7,最短7.7),総投与量中央値は1788μg(最大21476,最小190),体重あたりの総投与量中央値は251μg/kg(最大667,最小65),最大投与流量中央値は0.7μg/kg/h(最大1.0,最小0.45), 終了時流量中央値は0.1μg/kg/h(最小0.07,最大0.2)であった. 2例はクロニジン内服を併用した. DEX適応となった症例は陽圧呼吸22例,胸腔ドレーン維持の為の1例であり,併用薬剤はミダゾラム,フェンタニルが主であった.そのうち離脱徴候を呈したものは1例(4.3%)のみであった.離脱徴候を呈した例は, DEX投与22日目に0.7μg/kg/hから0.5μg/kg/hへの減量1時間後より,頻脈,興奮,散瞳,発熱,発汗と複数の離脱を疑う症状を認め, Withdrawal Assessment Tool-1(WAT-1)で5点,投与速度を戻して改善したことと合わせて,離脱徴候と判断した.以後計画漸減に基づく減量を行い再度症状出現なく終了した.漸減なしでの終了は2例で,1例は手術の為0.7μg/kg/hから中止され,投与期間は18.6日であり,1例は0.3μg/kg/hから徐脈の為に中止され,投与期間は9.4日であった.その他全例で漸減終了され,そのうち漸減計画に基づく減量は14例で一日当たりの減量幅の中央値は減量開始時の20%(最小7%,最大33%),漸減計画のない減量は9例で漸減期間中央値は3.9日であった. 減量速度は投与期間が長期である程,緩徐に減量される傾向が見られた. 離脱徴候を呈した1例を除き,中止例も含め離脱徴候を認めなかった. 【結論】DEX長期投与例において, DEXの漸減終了は離脱予防に有効であると思われた. 適切な漸減速度に関しては今後の検討課題である.