第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

新生児・小児 研究・経験

[O162] 一般演題・口演162
新生児・小児 研究・経験02

2019年3月3日(日) 10:05 〜 10:55 第17会場 (国立京都国際会館2F Room J)

座長:辻尾 有利子(京都府立医科大学附属病院 看護部 PICU)

[O162-4] 小児せん妄、離脱症状アセスメントツールSOS-PDの翻訳

松石 雄二朗1,2, 星野 晴彦1,2, 榎本 有希3,4, 城戸 崇裕3,4, 下條 信威3, Bryan J Mathis5, Joshua Gallagher6, Erwin Ista7, 河野 了3, 井上 貴昭3 (1.筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻, 2.筑波大学附属病院 看護部, 3.筑波大学 医学医療系 救急・集中治療医学, 4.筑波大学 医学医療系 小児科学, 5.筑波大学 医学英語コミュニケーションセンター, 6.筑波大学ヘルスサービス開発研究センター, 7.ソフィアこども病院 集中治療室)

【目的】 近年小児せん妄に関する認識は高まりつつあるが、離脱症状と小児せん妄に関しては、表出される症状が似ていることから鑑別が難しいといわれている。本邦ではせん妄アセスメントツールは米国で作成されたpCAM-ICU(Pediatric Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit)、 psCAM-ICU(Preschool Confusion Assessment Method for the ICU)、CAPD(Cornell Assessment of Pediatric Delirium)、離脱症状アセスメントツールはWAT-1(Withdrawal assessment tool-1)が普及している。一方、ヨーロッパではせん妄と離脱症状を同時に測定するツールSophia Observation withdrawal Symptoms-Paediatric Delirium (SOS-PD) scaleが開発され、離脱症状と小児せん妄が同時に測定されている。SOS-PDを本邦で使用出来るようにすることがせん妄・離脱症状の評価の一助となると考え、翻訳を行った。【対象と方法】原文作成者であるDr.Erwin Istaより翻訳の許諾を得た。小児せん妄ツールの翻訳経験のある集中治療医2名、小児科医2名、研究者2名、小児看護師2名の医療職翻訳チームと共に、イギリス人であり公衆衛生分野の修士号をもつ日本語のバイリンガルの翻訳者1名、アメリカ人で医学博士号を持つ医学英語教育者1名の翻訳チームでback translation法を用いて翻訳を行った。作成された翻訳は原作者の確認を受け、原作と同様のものである事を確認した。【結果】バックトランスレーション法を用いてSOS-PDの日本語版を作成した。翻訳の中で最大の難点は日本語の持つニュアンスの多さから“いつもの子どもの行動(しぐさ)と違うと親が感じる“のカテゴリーに関するものであった。また、筋緊張に関しては日本語独特の音象徴(Japanese sound symbolic)である筋緊張を表す“つっぱる”、小刻みな振戦を表す”わなわなする”を加えた。全ての翻訳内容について原作者から原作と相違が無いことの確認を行った。【結論】日本語版SOS-PDを作成した。今後、臨床での使用を促進すると共に、妥当性・信頼性の検証を行う。