[O162-6] 看護師の小児せん妄評価の遵守率の実践報告
【背景】 小児せん妄と死亡率との関連が近年報告され、小児せん妄を評価し治療することが求められている。せん妄は主観的に評価することが困難であり、アセスメントツールを使用することが推奨されている。また、新たなスケールを導入する際に、スケールの実施率を提示することが、評価の遵守率を向上させる有効な方法の一つと報告されている。 当院ではせん妄評価ツールであるCornell Assessment of Pediatric Delirium(CAPD)を導入し、看護師によるせん妄評価を開始した。【目的】 新たにCAPDを導入し、看護師のせん妄評価の遵守率を測定したのでその結果を報告すること。【方法】 筑波大学附属病院小児ICUの患者を対象に2018年3月から8月までにせん妄評価が実施されているかを、週一回コンビニエンスサンプル法で電子カルテ上から収集した。せん妄評価は8時間ごとに、一人の患者に1日3回受け持ち看護師が評価した。集計対象は全ての入室患者として、Richmond Agitation Sedation Scale(RASS)での鎮静評価後にCAPDの点数が記載されているもの、RASS-4以下でCAPDの点数が記入されていないものを適切に評価されているとした。RASS-3~+4でCAPDの点数が記載されていない場合、RASS-4~-5でCAPDの点数が評価されている場合は適切に評価されていないとした。毎月のせん妄評価の遵守率をグラフ化し、看護師へ提示した。せん妄評価をするために、せん妄評価ツールを提示、携帯できるスコアシートの配布をした。【結果】 全期間中のせん妄評価の遵守率は46%であった。遵守率を月ごとに集計した結果は、3月17%、4月30%、5月37%、6月56%、7月83%、8月49%だった。もっとも評価されていた週の実施率は78%、もっとも評価が低かった週の実施率0%だった。また、RASS-3~+4で評価されていないものが全体で54%、RASS-4,-5でCAPD評価がされているものが全体の4%にみられた。【結論】 小児せん妄評価の遵守率は、集計開始時は低値であったものの、徐々に遵守率の向上が観察された。この遵守率の上昇の要因として、遵守率の提示、スコアシートの配布などが関わっている可能性がある。遵守率が100%にならない要因として、アセスメントツールが複雑であること、せん妄評価の必要性を周知できていないことが関わっていると考えられる。加えて最終月は遵守率の低下がみられており、遵守率の向上・維持するための工夫が必要であると考えられる。