[O2-1] High flow nasal cannula装着中の患者におけるデクスメデトミジンの効果
【背景】重症患者の睡眠効率は悪く、せん妄の原因となり得る。人工呼吸患者へのデクスメデトミジン(DEX)投与は睡眠効率を改善させる報告がある。しかし、High flow nasal cannula(HFNC)装着中の患者に対するDEXの効果に関する報告はない。今回、HFNC装着中の患者に夜間のDEXを投与することで、睡眠動態に与える影響を検討した。【方法】当院ICUに入室し、HFNCを装着した成人患者を対象とした。DEX群、コントロール群の2群に分けて、夜間の消灯時間(21時~6時)に、睡眠ポリグラフィ装置を用いて睡眠動態を評価した。DEX投与量は、Richmond agitation sedation scale:-2~0を維持できるように0.2~0.7 mcg/kg/hの間で調節した。評価項目は、睡眠効率、総睡眠時間、各睡眠ステージ:Stage1(N1)、Stage2(N2)、Stage3(N3)、REM(Rapid Eye Movement)の割合、覚醒反応指数とした。【結果】計21人(DEX群11人、コントロール群10人)を検討した。睡眠効率の中央値(第1、第3四分位、以下同様)はDEX群:63%(36、75) vs. 非DEX群:33%(12、66) (p=0.16)、総睡眠時間は339分(196、403) vs. 177分(62、357) (p=0.16)、睡眠ステージ比率は、N1:21%(15、42) vs. 51%(20、76) (p=0.25)、N2:70%(38、81) vs. 49%(20、58) (p=0.25)、N3:0%(0、0) vs. 0%(0、0) (p=0.34)、REM:0%(0、0) vs. 0%(0、3) (p=0.14)、覚醒反応指数は、21回/h(16、34) vs. 37回/h(28、47) (p=0.06)と、いずれも有意差を認めなかった。【結語】デクスメデトミジン投与によりHFNC装着患者では、睡眠効率、睡眠時間ともに改善しなかった。