第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[O2] 一般演題・口演2
鎮痛・鎮静・せん妄 研究02

Fri. Mar 1, 2019 11:25 AM - 12:15 PM 第6会場 (国立京都国際会館1F スワン)

座長:鶴田 良介(山口大学医学部附属病院先進救急医療センター)

[O2-4] 当院独自のせん妄対策プロトコル・チェックリストによる取り組みからみえてきた現状と課題

陣野 太陽, 川崎 絵理子, 大澤 千恵子, 加藤 英子, 島本 健, 野中 道仁, 松尾 武彦, 小宮 達彦 (公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院)

【背景】集中治療部門におけるせん妄発症は、患者の生命予後悪化、医療スタッフの疲弊、医療経済の非効率化を招く。そのためせん妄は予防が特に重要である。そこで当科独自の疼痛・せん妄対応プロトコルを使用し、また看護師のチェックリスト方式による予防的介入を行った。【目的】当科における従来のせん妄対策は医師によって投薬指示など対応に差異がみられ、それによる現場の混乱が生じていた。また看護介入も重要な位置を占めるが、経験年数5年未満の若手看護師が46%、逆に10年以上の看護師は23%という当科の現状において、看護師による対応の差異も同様にあった。そこでせん妄対策プロトコルの作成、せん妄予防看護14項目のチェックリスト化により患者対応を普遍化することでせん妄発症を減らすことができるのではないかと考え取り組んだ。【方法】当科における先行研究で明らかになったせん妄発症リスク7項目~高齢(75歳以上)、緊急手術・入院、脳卒中既往、COPD、長時間手術(5時間以上)、NPPV、CHDF~のうち一つでも項目を満たすものをハイリスクとした。また、当科は季節によって患者背景が左右されるため観察期間は2017年7,8月(前期)と2018年7,8月(後期)とし、この期間内にハイリスクに分類される患者に対して、後期では上記の独自予防策による介入を行った。せん妄発症を主要アウトカムとし、その他自己抜去やCCU滞在期間等についても比較検討した。【結果】前期62例、後期38例。年齢は75.5±9.3 vs 70.2±13.3歳(P=0.037)と後期がより若年であった。肝腎機能等患者背景で両群間に有意差なし。術中出血量(P=0.403)や術中バランス(P=0.190)、ドレーン留置期間(P=0.571)に有意差なし。せん妄発生率は35.5 vs 26.3 %(P=0.34)、入室後7日以内でのせん妄日数2.5±1.4 vs 2.2±1.4日(P=0.606)と有意差を認めなかったが、ルート類自己抜去発生率は9.7 vs 2.6 %(P=0.180)と減少した傾向は認め、ICDSC6点以上となったものは21.0 vs 10.5 %(P=0.177)とせん妄の程度も抑えられる傾向は認めた。CCU滞在日数は5.2±7.6 vs 4.1±3.7日(P=0.398)と有意差は認めなかったが、一方で術後入院日数については、19.3±19.1 vs 13.5±7.7日(P=0.037)と後期で有意に短かった。【結論】当科独自のせん妄対策は一定の効果をあげつつある。