[O2-6] 胸腔鏡下肺嚢胞切除術における硬膜外鎮痛と超音波ガイド下レトロラミナールブロックの比較検討
【背景】胸部外科手術では、心血管系・呼吸器系の術後呼吸合併症を予防するために、十分な鎮痛を行うことが必要である。近年普及している胸腔鏡下手術に対しては、鎮痛効果に優れている硬膜外鎮痛(Epi)が一般的に施行されているが、硬膜外血腫や神経損傷などの重篤な合併症のリスクを伴う。また周術期抗血栓療法の普及に伴い、Epiが施行できない症例も増えてきている。超音波ガイド下レトロラミナールブロック(RLB)は、出血性合併症も少なく、Epiと比べ安全に施行できるとの報告を散見する。しかなしながら胸腔鏡下手術において、その有効性について比較検討した報告は見当たらない。我々はこれまでに、胸腔鏡下肺嚢胞切除術におけるRSBを用いた術後鎮痛について報告した。今回、胸腔鏡下肺嚢胞切除術において、RLBとEpiの術後鎮痛効果について比較検討を行ったので報告する。 【方法】当院で胸腔鏡下肺嚢胞切除術を施行した患者70例を対象とした。術後鎮痛方法にて、対象をRLB群(n=38)とEpi群(n=32)の2群に分け比較検討した。Epi群は入室後Th4-5より硬膜外チュービングを施行し、手術終了直前に0.375%ロピバカインワンショット投与後、0.2%ロピバカイン(3-6ml/hr)の持続投与を行なった。RLB群は手術終了直後 Th4-6椎弓後面に1%エピネフリン含有リドカイン10mlと0.75%ロピバカイン10mlの混合液単回投与後、0.2%ロピバカイン(8-12ml/hr)の持続投与を行った。術後飲水が可能となった時点でNSAIDsもしくはアセトアミノフェンの定期内服を併用した。安静時・体動時NRS、鎮痛薬の使用量、術後合併症の有無を手術室退出時から術後2日目まで記録し比較検討した。統計学的検討はカイ二乗検定、ANOVAを用い、p<0.05を有意差ありとした。【結果】両群間に患者背景、術後鎮痛薬使用量に有意差は認めなかった。術後の安静時・体動時NRSは両群間に有意差は認めなかった。【結論】RLBは胸腔鏡下肺嚢胞切除術においてEpiと同等の術後鎮痛効果が得られる可能性が示唆された。