[O21-1] ICUで新たに発症した菌血症の実態調査 単施設後ろ向き観察研究
背景:国内ICUにおける血液培養陽性例の実状はあまり知られていない。当施設では、感染症専門医資格を有する集中治療医が着任し、感染対策チーム(ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)のメンバーとして感染管理に取り組むようになった。目的:ICUで施行された血液培養検査結果について質的な評価を行い、陽性例については原因菌や感染源を明らかにする。方法: 2014年12月1日から2018年5月31日までに当院ICU(8床)に入室された18歳以上の成人患者全てを対象とした。ICUで施行された血液培養検査について、総検査数、2セット遵守率、汚染率、検査時の敗血症有無、陽性時の血液培養再検査及び陰性化確認有無、陽性症例については、原因菌並びに感染源を調べた。更に、ICT/ASTの介入前後で質的な変化を比較検討した。結果: 表参照。入室患者全体の6%弱に血液培養が施行され、そのうち25%弱が陽性、コンタミネーションは陽性例の30%弱でみられた。介入前後で、施行数や2セット遵守率、適切なタイミング、血培再検と陰性化確認に改善が見られたものの、コンタミネーション率は介入後も変わらず高かった。原因菌はグラム陰性桿菌がグラム陽性球菌よりもわずかに多く40%を占め、感染源としてはカテーテル感染、術創部感染、人工呼吸器関連肺炎が多かった。結論: ICT/ASTの介入により血液培養の質的な改善は見られたものの、コンタミネーションは依然として高く、血液培養採取の手技に改善が必要と考えられた。