[O21-3] ICUで発症した菌血症に対する抗菌薬投与の実態調査 単施設後ろ向き観察研究
背景:国内ICUにおける血液培養(以下血培)陽性症例に対する抗菌薬使用の実態はあまり知られていない。当施設では、感染症専門医資格を有する集中治療医がICU専従として着任し、感染対策チーム(ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)のメンバーとして抗菌薬適正使用に取り組むようになった。目的: ICUで新たに血培陽性となった症例における抗菌薬の適正使用について、ICT/AST介入前後で比較、検討する。方法: 2014年12月1日から2018年5月31日までに当院ICU(8床)に入室された18歳以上の成人患者のうち、コンタミネーションや再検査陽性例を除きICUで新たに血培陽性となった症例について、血培施行から適正抗菌薬開始までの時間、1時間以内の抗菌薬投与、初期抗菌薬選択、de-escalation、実施された場合の変更までの期間、血培陽性例での抗菌薬投与期間、血培陽性例での予後(30日、90日)について調べた。結果: 表参照。介入前後で適正抗菌薬開始までの時間は約7時間短縮したものの、敗血症バンドルである1時間以内の抗菌薬投与は30%弱に留まった。初期抗菌薬選択は、グラム陽性球菌にVCM、グラム陰性桿菌にPIPC/TAZ、真菌にFLCZやMCFGが多く選択されていた。抗菌薬のDe-escalationは介入後により多く、かつ短時間で実践されるようになった。抗菌薬の投与期間も介入後に約3日間短縮されたが、短期・長期予後共に悪化は見られなかった。結論: ICT/ASTの介入により適正抗菌薬の早期投与とde-escalationがなされ、結果としてICUで新たに血培陽性となった症例の予後が改善する可能性が示された。