[O23-2] 当院における敗血症に対する免疫グロブリンの投与状況と予後の関係-第一報-
背景:免疫グロブリン(IVIG)は細菌やウイルスに対する特異抗体が含まれ、オプソニン効果や補体活性化、毒素に対する中和作用や炎症性サイトカインの抑制作用を有する。現在、敗血症患者に対してIVIG投与の予後改善効果は現時点では不明であり、明確な推奨がない。本研究では血液培養が陽性であった敗血症患者に対してIVIG投与が予後を改善するかどうかを解析した。目的:血液培養陽性、SOFAの合計2点以上の患者に対して適切に抗菌薬が投与された後にIVIG投与を併用することで予後を改善すると仮定した。方法:研究デザインは後ろ向きコホート研究、対象は2014年1月から2018年9月までに血液培養陽性かつICUに入室となった敗血症患者60名をIVIG投与患者29名と非投与患者31名の2群に分けた。主要評価項目は28日生存率、副次評価項目は90日生存率、ICU在室期間、人工呼吸器離脱期間である。さらに患者背景としてAPACH2、SOFAの重症度評価、起因菌、IVIG投与開始時間および投与量について調査した。結果:28日・90日死亡率、ICU在室、人工呼吸離脱期間に有意な差はなかった。ICU入室後48時間以内にIVIGが計15g以上投与された症例はIVIG投与群のうち73%であった。IVIG投与群の起因菌は複数菌6例、嫌気性菌5例、緑膿菌1例、MRSA1例、大腸菌1例であった。結論:血液培養陽性であった敗血症患者に対してIVIG投与は予後を改善しなかった。今後、感染の初期段階においてIVIGの早期投与や投与量について検討を加える必要がある。