第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

感染・敗血症 研究

[O23] 一般演題・口演23
感染・敗血症 研究02

Fri. Mar 1, 2019 4:20 PM - 5:10 PM 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:木下 浩作(日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野)

[O23-3] アンチトロンビンによるneutrophil extracellular traps (NETs)抑制効果についての検討

小濱 圭祐1, 石川 倫子1, 藤崎 宣友2, 山田 太平2, 滿保 直美1, 小谷 穣治3, 藤原 智弘1, 白井 邦博1, 大家 宗彦1, 平田 淳一1 (1.兵庫医科大学 医学部 救急・災害医学講座, 2.岡山大学病院 救急科, 3.神戸大学医学部付属病院 救急部)

【背景】 Neutrophil extracellular traps (NETs) は好中球の抗原除去法である一方、放出されるヒストンなどが臓器障害の原因となる。Antithrombin (AT) はレセプターであるsyndecan-4を介した抗炎症作用が報告されており、syndecan-4はprotein kinase C (PKC) αの発現に関与し、PKCαがNETsを抑制する報告がある。本研究は、lipopolysaccharide (LPS)刺激によりNETs誘導したヒト好中球におけるAT IIIの効果と、機序としてPKCαが関与するかを検討したものである。【方法】敗血症性ショック患者6名、健常人ボランティア19名より好中球を分離し、1×106 cells/mLに調整後、患者血球は培養開始から75分後にAT IIIを添加した。健常人血球はPKCα阻害剤で45分間刺激後、LPS(E.coli, O55:B5, 1 μg/mL)を添加し、その30分後にAT III (10 IU/mL)を添加した。37 °C 5% CO2で合計2時間または4時間培養を行った。NETs面積は蛍光免疫染色を用い、histone H1及び好中球エラスターゼを検出した。培養上清中の遊離ヒストンおよびエラスターゼ量はELISAにて検出した。また、PKCα, δ, および ζ の蛋白発現はwestern blotを用いた。【結果】敗血症性ショック患者6名中5名の好中球でAT IIIはNETs面積を減少させた(中央値:LPS単独刺激93.6 μm2 、LPS+AT III刺激44.0 μm2 (p=0.1))。健常人では、19名中14名の好中球で AT IIIはNETs面積を減少させた(中央値:LPS単独刺激48.2 μm2、LPS+AT III刺激30.5 μm2 (p<0.05))。蛋白発現はPKCα のみ発現がAT III刺激で増加する傾向にあった (p<0.1)。AT IIIにより上清の遊離ヒストンは減少(p<0.01)したが、エラスターゼは減少せず、PKCαを阻害するとNETs面積や遊離ヒストンの減少は解消された。【結論】AT IIIはLPSにより誘導したヒト好中球のNETs形成を減少させ、PKCαを介した機序が想定された。AT III投与は抗凝固のみならず、過剰なNETs形成による臓器障害にも効果が期待される。