[O24-3] バルーン圧はPartial REBOAの遮断強度の指標となるか?
【背景】REBOA中は近位動脈圧上昇と同時に遠位臓器虚血を惹起し,出血性ショックから蘇生しても虚血再潅流傷害により救命しえないことがある.バルーン部分遮断 (Partial REBOA, P-REBOA)が完全遮断より代謝や生存転帰で有利との報告もあるが定義や遮断強度設定が一定でない.【目的】生体豚でのCT所見とあわせて近位および遠位動脈とバルーン圧がP-REBOA遮断強度の指標となるかを評価する.【方法】全身麻酔下に頚動脈および大腿動脈圧ライン, REBOAアクセスを確保した. 大腿脈圧が0となるバルーン容量を完全遮断と定義した. 遮断強度を20%注入容量ごとに変化させ, 造影CTでバルーン形状の評価と近位(P, 頚動脈)・遠位(D,大腿動脈) 平均動脈圧, D/P比およびバルーン圧を測定した.【結果】バルーン形状は尾側から拡張し,壁接触長を増加しながら円錐形状から紡錘形状に変化した.バルーン最大断面積は40%から60%遮断時点で概ね大動脈壁に達した.近位動脈圧は60%でプラトーとなり,D/P比と遠位脈圧は60%まで速やかにその後100%にかけて緩徐に低下した.0から60%までバルーン圧は近位動脈圧とほぼ同一で,壁への接触開始後急激に上昇した.【結論】P-REBOA中のバルーン圧は低遮断強度の間はほぼ近位動脈圧を示し,その後壁接触により急上昇する.遮断強度が60%以上に増大し近位動脈圧がプラトーとなった後は遠位脈圧もしくはD/P比の低下が指標となる.