第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

補助循環 症例

[O26] 一般演題・口演26
補助循環 症例01

2019年3月1日(金) 09:00 〜 09:40 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:大山 慶介(かわぐち心臓呼吸器病院)

[O26-2] 癌浸潤による気管閉塞に対してECMO導入後に気管ステント留置術(TSR)を行い救命し得た2症例

齊木 巌, 長倉 知輝, 沖田 綾乃, 関根 秀介, 今泉 均, 内野 博之 (東京医科大学病院 麻酔科学分野 集中治療部)

【はじめに】癌による気管閉塞の救命処置としてECMOを導入後に気管ステント留置術(TSP)し救命し得た2症例を経験した。
【症例1】60歳台男性
【経過】他院で食道癌と診断されTSP目的に当院転院。呼吸苦増悪し病棟で挿管したが換気不能となりICU入室。BGA (FiO2:1.0 用手換気)でpH:7.01, PO2:185torr, PCO2:147torr と低酸素血症と高炭酸ガス血症を呈していた。BFで食道癌気管浸潤による左気管支閉塞と喀痰による右気管支閉塞を認め、吸痰後に右主気管支挿管。窒息防止の救命目的とTSP中の酸素化、炭酸ガス維持目的からECMO導入。脱血(RA-RFV)、送血(IVC-LFV)共に 25FrのV-V ECMOとした。ECMO導入当日に硬性鏡下TSPを筋弛緩併用TIVAで施行した。気管内酸素8L/分吹き流し、ECMOは抗凝固無で流量4 L/分としHbを10g/dl以上に維持。TSP中のSpO2:100%, PO2:208torr,PCO2:47torr であった。問題なく終了し再挿管後ICU帰室。離脱試験施行(O2 Flow:0L)しAC-PC(FiO2:0.4 PC:18 PEEP:5)でPO2:128torr, PCO2:47torr であり帰室2時間後にECMO離脱、翌日抜管し、翌々日に一般病棟へ転床した。
【症例2】30歳台女性
【経過】左下葉肺癌、縦郭リンパ節腫脹で化学療法中。左下葉枝完全閉塞で安静時呼吸苦出現していた。病棟で呼吸状態悪化し緊急挿管後ICU入室。BGA(AC-PC FiO2:1.0 PC:30 PEEP:7)はpH:7.40, PO2:57torr, PCO2:41torr と高度低酸素血症であり、BFで左下葉枝閉塞と右中間管閉塞を認めた。低酸素血症が増悪し救命目的にECMO導入。脱血(RA-RFV)、送血(IVC-LFV)共に 21FrのV-V ECMOとした。翌日に硬性鏡下TSPを、麻酔は筋弛緩併用TIVAで行い、抗凝固なしでECMO流量5L/分としHb>10g/dLを維持。気管内に酸素投与は行わなかったが、TSP中SPO2:92%, PO2:65torr,PCO2:44torrと維持できた。合併症なく終了、再挿管後ICU帰室。離脱試験施行(O2 Flow:0L)し、AC-PC(FiO2:0.3 PC:25 PEEP:10)でPO2:133torr, PCO2:32torr であり帰室12時間後ECMO離脱。2日後抜管したが、食道癌による食道閉塞で唾液貯留と声門麻痺のため抜管翌日に再挿管、気管切開後に一般病棟へ転床した。
【まとめ】癌浸潤による気管閉塞に対して救命目的にV-V ECMOを導入し、合併症なくTSP施行し救命し得た2症例を経験した。