第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

補助循環 症例

[O26] 一般演題・口演26
補助循環 症例01

Fri. Mar 1, 2019 9:00 AM - 9:40 AM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:大山 慶介(かわぐち心臓呼吸器病院)

[O26-4] 左心ventを用いたcentral V-A ECMO中に、巨大な心室内血栓を生じた劇症型インフルエンザ心筋炎の1小児例

城戸 崇裕1, 榎本 有希2, 岩淵 敦1, 森田 篤志1, 高橋 美穂1, 野間 美緒3, 井上 貴昭2, 平松 祐司3, 高田 英俊1 (1.筑波大学附属病院小児科, 2.筑波大学附属病院 救急・集中治療部, 3.筑波大学附属病院心臓血管外科)

【背景】V-A ECMO管理において、心収縮が極端に悪く大動脈弁の開放が無い症例では、心室拡大を来すなどして、心内で血液が滞留すると心内血栓のリスクとなる。このような症例では左心系ventを併用したcentral ECMOを考慮するが、通常Vent併用下Central ECMOでの心内血栓形成は稀である。【目的】劇症型インフルエンザ心筋炎に対し左心vent併用central ECMOを導入したが、大量の心内血栓を形成した症例を経験したので経過を報告し、血栓を回避するための管理のポイントについて考察する。【臨床経過】既往のない9歳女児。5日前に発熱しインフルエンザBと診断されていた。急激な呼吸困難のため近医を受診した。顔色不良、傾眠傾向、HR 160bpm、BP 90/60mmHgの代償性ショックであり、地域小児科センターへ搬送された。搬送中に心停止となり、心肺蘇生が開始された。搬送後も自己心拍再開が得られず、VA-ECMOを導入の上で当院へ搬送された。心筋逸脱酵素の上昇と、インフルエンザ抗原陽性から劇症型インフルエンザ心筋炎と診断された。左室駆出率は15%であり、左心系の拡張が顕著であったため、同日中に左心vent併用central ECMOを導入した。凝固能管理はACT200-250秒、及びAPTT55秒前後を指標とし、ヘパリン70-250u/kg/dayの持続投与で調整した。第2病日に心嚢内血種による心タンポナーデを呈し、開胸止血術を要したが、その後ECMOフローはよく保たれていた。術後14時間後に突然心室補充調律、その2時間後にAsystoleとなり、心室リードからのペーシングにも反応しなくなった。同時にECMOフローが不安定となり、心エコーにて左室・右房を充満する血栓を認めた。ECMOフローを維持できず、第3病日に永眠された。心内血栓発覚の前後も、ACTおよびAPTT値は目標範囲に保たれていたが、Fib値の軽度上昇や、AT-3低値を認めた。【結語】強い心筋障害を有する心筋炎のVA-ECMO管理においては、左心ventの併用やACTとAPTTを指標としたヘパリン化による凝固能管理では血栓傾向を抑制しきれない可能性がある。他指標の併用や血液製剤の使用についても配慮する必要がある。